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ギャラリーツープラス「西利則 個展 ~ワイングラスにまつわる物語~」に行って来ました
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2009年も始まって、10日が過ぎようとしています。
慌しく年末年始を迎え、仕事始めとなり、皆さんも通常の生活にお戻りでしょうか。

銀座のギャラリーツープラスさんで西利則さんの個展を鑑賞に行ったのは、
昨年の12月18日(木)でした。銀座の町は、クリスマス一色でした。
わたしは、昨年12月は、12月7日から16日まで
9泊10日の正月前休暇に行って、すっかり年越し気分でいました。

でも、御宿に行く前から、気にはなっていたのです。
ツープラスさんから送られてきた、西利則さんの個展DM。
例によって、一目で落ちたのです(笑)見た瞬間に。おもしろーい! 
なにこれ、みたーーーーい!!! そう、ちてなの星が瞬いたのです。

どうですか、この透明感溢れる美しいワイングラスと、その中の景色。

もう、このDMを見て、実物の絵を見たくてたまらなくなりました。
こんなに、本物みたいに、もしかしたら本物以上に綺麗なワイングラスの景色を
わたしは、今まで見たことが無かったから。
ワイングラスって、液体を飲むために注ぐくらいしか、考えたことが無かったから。
でも、わたしが大好きなビー玉が、こんなに幸せそうに零れ、
眩しいくらいの白いシーツ(?)、この美しいシワまでも、
一瞬にしてとりこになったんです。もう見に行かずにはいられない。

わたくし、実は「静物画」というようなものは、あまり興味ありませんでした。
そのままのものを、そっくりそのまま描いて、なにがおもしろいのかと
(描けもしないのに限って、こんなおっそろしいことを言ってしまうのです、
 ほんとうに、何も知らないとは、恐れも知らずで、申し訳ありません。)
今までだったら、そう思ってて、見向きもしてませんでした。

でもわたしは、どうしても、西利則さんの個展を見たくて、ワイングラスの作品を見たくて、
「師走は風邪も流行ってるし物騒だから外に出ちゃダメ」と渋るオーナーに
頼み込み、ようやく取材・鑑賞に行くことができました。
ワイングラスと、ビー玉が、わたしを呼んでいる♪
心はずませ、銀座のクリスマスイルミネーションにも振り向かずに
ギャラリーツープラスさんにお伺いしてきました。

この日は、西さんにはお会いできなかったのですが、
ツープラスの加藤晴正さんに初ご対面。
いつもDMを送ってくださって、ありがとうございます~♪♪
ツープラスさんは、細い階段を二階に上がった二階部分と、
また更に階段を上がった三階部分と、二箇所が展示スペースになっていました。

ツープラスさんは、OPENして6年目。展覧会を常時開催するようになったのは、
2年ほど前からだそうです。実は、加藤さん、ギャラリーをやる前は、
某百貨店の出入業者として展覧会の企画・販売をするお仕事を、
およそ10年やっていたそうです。某百貨店は、わたしも勤めてたことがあるので、
もしかしたら、どこかですれ違ってたかも☆

「独立して、同じ会社の仲間と2人ではじめたのがツープラスです。
 ツープラスの由来は、自分と、もうひとりの早川さんという方と、そしてお客様と作家さん、
 どんどんプラスになってくれたらいいなという意味でつけました」

なるほど。展示スペースが二つあるから「ツープラス」なのかと思っていました。
今では、もうひとりの方は百貨店関連の仕事に戻られ、
加藤さんおひとりで運営されているそうです。
ところで、百貨店で展覧会を企画するお仕事って、スッゴク興味あるのですが♪

「実は、自分は最初からその仕事がしたくて、そうなったわけではないんです。
 ほんとは、イラストレーターをやりたかったんです。ただ、就職口が無くて。
 でも自分ではそんなに焦っていなくて、フリーターやりながら
 イラストの売り込みすればいいかなくらいにしか思っていなかった。
 そうしたら、大学の先生が画商の下働きの仕事を紹介してくれたんです。
 まあ、腰掛にと気楽に考えていたんです。それが大間違い。当たり前です。
 大変でした。絵を売る? わからないことだらけでした。
 自分は、ただただ、イラスト、絵の側にいたい、
 アルバイトでその日暮らしでいいと思っていたのが
 全然知らない特殊な世界に入ってしまったのです。丁稚奉公の毎日。
 その画商は油絵中心に扱っていました。聞いたことの無い画家の油絵ばかりです。
 それもそのはず、今まで画廊へ行ったことがなかったですから。
 そして、最大の疑問がなんでこの絵がこの値段なの?
 かたちがあるようでない"絵"に"付加価値"をつけるということの不可解さ。
 理解することすら難しかったです」

「でも、いつのまにか、その仕事に慣れていきました。
 最初はイヤでイヤで仕方なかったです。絵の販売なんてやりたくなかった。
 作る側にいたかった。そんな中途半端な気持ちだったから、
 当然、絵は全然売れなかった。
 
 そのうち、百貨店に企画を出し、それが通るようになりました。
 それからは少し楽しかったですね。
 絵が売れていくシステムっていったいなんだろう。
 目の前で売れてゆく、その流れを見て初めて
 「絵は売れるんだ」と納得するようになりました。

 自分が百貨店に出入りしていたころは、1980年代末、
 バブルの残り火がまだある頃で絵が売れていました。
 画家の名前で買っていたんだなというのは後からわかったことです。
 当時は自分の営業力と自惚れていた。
 バブルがはじけた後は、成績は下降線。実力じゃなかったんです。
 当時、絵を買って下さる方の一部は、嬉しいとか欲しいから買うのではなく、
 ステータスを求めていただけなんですね。
 百貨店で営業させてもらって、数字をまるで出せないのは、実に情けないものです。
 百貨店の方の目もきつくなる。休息室でコーヒーを飲んでいても、
 ここにいる誰よりも自分が一番駄目じゃないかって思ってました。
 そんなわけで、偽者のやり手営業マンは、元の下働きに逆戻りです。

 ツープラスは油絵がメイン。貸しと企画と両方しています。
 油絵メインといっても、ジャンルやポジションで選別はしていません。
 だから、イラスト展やら日本画展、写真展などなど開催しています。
 自分も友達とイラスト展を開いたりもしました」

「自分は、画商の下働きから初めて、百貨店での展覧会企画など
 この業界が長くなりましたが、実は、ずっとイラストもやりたいんです。
 諦めていません。今でも、イラストの仕事が舞い込みます。
 ご縁のあった方が仕事を回してくれるのです。

 よくイラストレーターの卵さんから 「どうやったら仕事取れますか」と
 悩み相談受けるけれど実は自分は答えられないんですよ。
 自分は絵は描けても売り込みはやったことが無いので
 申し訳ないんですが、アドバイスしようが無いんです。

 ただ、言えることは、
 絵を描く前の段階で、どのくらいコミュニケーションがとれるか。
 どういうことを相手が望んでいるか、相手の考えをいかに正確に汲み取るか。
 そして、相手の考えよりほんの少しアイデアのある絵を提供出来るか。
 相手より【ほんの少しだけアイデアが上手】がミソだと思ってます」

「みんな、勘違いしてると思うんです。
 新しいものは、無駄なものの中にあるもので、
 ちゃんとしたものは、やがていつか育っていく。
 正しいかどうかなんて、物差しでははかれないことばかりです。
 最初から、これが正しいとか、これが間違ってるって決めつけない。
 ムダなことをしてるかもしれないけど、その積み重ねで輝いてくる。
 石炭がダイヤモンドになるように、その過程が大事で。

 新しい靴というのは、ピカピカで新鮮で気持ちいいですが、
 慣れて、履き潰していくと、自分の足の形そのものになっていく。
 それを見て、自分の足ってこんななんだと改めて知って、
 なんて不細工って幻滅することもあるけど、
 これが自分なんだと思えたら自分の事が好きになる、みたいな、
 自分が好きなことを、無駄なことなのかもしれないけど、
 続けていたら、役に立たないと思っていたことでも、
 誰かの役に立つこともあるかもしれない。
 やっぱり、自分で自分のことが好きでないと、何もできないですよね。

 こういう段取りで無いと、こうしなくちゃいけないと筋道立てて
 行き詰ってしまう方が多いと思う。自分も結構、そういうところがありました」

「ものさしから、はみだしてもっとやってみたいですね。
 人にクエスチョンマークを感じてもらいたいです。
 『なぜ?』をキーワードにしたい。『なぜ?』を発信したいです。
 今、問いを発せられても、返す勇気がない方が多いですよね。
 これから、景気も、社会も、いろいろなことが悪くなっていくと思う。
 こういうとき、今が『チャンス』なんだと思います。
 
 搬入日があって、搬出日があって。こう、決まりきった同じ流れに
 はまってしまっていて変化が全く無くなってしまう。
 勿論、素晴らしい作品や作者、お客様に会える喜びがあります。しかし・・・。

 実は、銀座の画廊、ギャラリーさんで有志を募って、
 週に一度だけ夜8時まで営業しようという動きがあるんです。
 まだ企画段階なので、どうなるかわかりませんが、ツープラスも参加し、
 6月からは、展覧会会期を変えて、今までの月~土から、土~木に変更します。
 搬入が初日の午前中。最終日の木曜日は夜8時まで営業。搬出は8時から。
 そして、金曜日をお休みにします。よその画廊からヒントを貰いました。

 会期の変更は営業面からばかりでなく、自分も変わりたいからです。
 2009年は、ちょっと力を抜いてリラックスして、もっとちゃらんぽらんになって、
 もっとひらけてくる。そういう感覚を大事にしたいです」

いやー! 加藤さん、素敵なお話し、ありがとうございました!!!
加藤さんは、丸いお顔で眼鏡をかけられているんですが、
なんだかお地蔵さんがお話してるみたいで、お茶を頂きながら、
ピアノのCDもかかっていて、まったりと聞き入ってしまいました!

なんか、もう、不思議! でも、面白い、楽しい!
自分がやる気さらさら無かった、全然知らない絵を売る仕事に就いて、、
作る側がいいと言いながらも勉強して10年も続けられて。
途中で辞めない、逃げないところが凄いです。
独立してからは、ギャラリーをはじめて。
でもイラストレーターの仕事もしっかり諦めることなく続けられて。

加藤さんのされてきたこと、続け重ねてきたこと、全部ムダなことじゃないんですね。
長い果てない遠回りのようだったけれども、作品や絵を見る勉強になって、
営業を通じて、人の話を聞く、聞き出すことなども学んで、
苦労や辛いことも多かったろうと思いますが、いろいろな出会いがあって、
イラストのお仕事に繋がっているそうですので、わからないものですね。
これが正解とか、間違ってるなんて、誰も言えやしないですね。
人生の主役は、ほんとうに、誰でもない、「自分自身」ですね。
だからこそ、「自分はこれでいいのか?」常に自分と向き合っていきたいものです。

それと、加藤さんにもこの日、お話したんですが、
例えば、お客さんの入りが少なくなり、やがていつの間にか閉店してしまうお店や、
勤めている人が次から次へとやめてしまう、店員がいつかない職場など、
身近によくあることだとは思うのですが、そういうものに敏感で、
感覚的に感じ取ったことが、残念ながらそのようになることが多いのですが、
そのことについて、オーナーに
「当事者は、冷静に判断できない。第三者だから客観的に考えることができる。
 成功ではなく、失敗例から、何がいけなかったのか、どうしたら人が去らずに、
 閉店しないで済んだのか、理由や方法などをじっくり考察することが
 これからの自分達のいい勉強になる」
と言われ、目が覚めた気持ちになったのです。

それを聞かされてすぐに、加藤さんから、今回の
「『なぜ?』を発信したいです。こういうとき、今が『チャンス』なんだと思います」
のお話を伺ったので、すごくリンクしてビックリしました。

物事には理由と根拠、原因がある。
「それが当たり前なんじゃないの?」みたいな、
あまえきってだれきった思考を鋭く研ぎ澄ましていかねば。

加藤さん、ほんとうに、ありがとうございました!

さて、西利則さんの個展鑑賞開始です。
2階は、過去に描かれた作品が主に展示されていました。
西利則さんは、1962年東京生まれ。1988年にスペインの学校で勉強、
マドリードのプラド美術館にて、17世紀の古典絵画を模写され、90年に帰国。
ツープラスさんでは、07年にグループ展で参加し、
2008年、個展開催となりました。

思わず、加藤さんに「これはなんという絵になるんですか?」と質問すると
「細密画です」と教えていただきました。細密・・・なるほど!

こちらの絵は、西さんのサイトで見たことがあり、好きです!
なので実物を見れて嬉しいです! 『画室の片隅』という題名です。
グラスのほのかなピンクの花の絵と、グラスの根元(?)の水色の丸い部分が好き。
隣の低い大口のグラスも、好き! 後ろのカーテンのしわしわが、すごく気になる。
気になるけれど、このグラスは誰がどんな時に使うのかなって気になる。
家族で使っているのかなあ。お客様ようなのかなあ。

赤い色の花瓶の丸みと光具合がたまりません。
いってんして、紙の色と鉛筆の色(?)だけの籠の中の松ぼっくり。
すごく、じっといつまでも見れちゃう絵ですねえ。
わたしだったら、絶対、下に敷物を敷くと思う(笑)

こちらも、すごい好きです! 最初どうしても蜜柑に目が行っちゃうんですが、
ワイングラスと中のワイン、そして手前にあるティーカップの模様と質感。
触りたい! 実際にここにお茶入れて飲みたい!うわー。もうかぶりつきでした。
実はわたし、若かりし頃、ティーカップが好きで、
自分の手指にしっくりくるティーカップ(同時に色柄デザインも自分好み)を
探し回ったことがあります。宝くじがあたったら、
場所作ってティーカップの展示場を開いていたかもしれません(笑)
それらが走馬灯のように思い浮かんできましたよ。
そしてワインの煌き。いいですねえ~。香りがしてきそうですよお~。

くああ~! やられた!(喜)
もちろん、これは養命酒じゃなくて、ワインですよね☆
こんなテーブルの端っこの曲がり具合絶妙な所に、ワインとフランスパンですよ!
もう、さもありなんですよ! あのパン屑見えますか?
そしてテーブルに映るパンの姿! そう! テーブルってこうですよね。
若かりし頃、家具売り場によく潜入してました(笑)いろーんな高そうな
テーブルセットを座り倒してました。自分の背丈に合う高さって椅子も合わせて
トータルで考えると難しいんです。おっと、脱線はこのくらいにして、そう。
磨き上げた家具というのは、こんな感じの輝きをしてますよね。
見るのも撫でるのも最高で。映る自分の姿さえもうっとり。
そしてお気に入りの物を上に置くことの、幸せ。
バックが黒というのも、時間を忘れて引き込まれますねえ。

西さんのお嬢様だそうです。

凄いですよね。もし自分が描かれた本人だったら、とっても恥ずかしいけど、
ある程度の年齢になったら、凄く嬉しい、ありがたいと思えるんじゃないのかなと。
写真は、お金を払ってプロのカメラ屋さんにお願いしたとしても、
機械の力と撮る人の腕はある程度想像できるじゃないですか。
でも、お父さんが描いてくれた絵なんて、そうそうあるものじゃない。
(あ、絵描きのお父さんを持つ娘さんは、描かれるのは、しょっちゅうなのかな?)
すごくいい思い出になると思います。
この時の、娘さんは、この時でしか無いんです。時は止まらないし戻らない。
すくすくと成長していってしまい、やがて巣立っていく娘さん。
嬉しそうに嫁いでいく日が来る娘さん。うーん。親冥利に尽きるといいましょうか。

ちょうど、わたしが椅子に座ってお茶を飲んだ時、こちらの絵を
見上げていたのですが、ずっと見飽きなかった。素敵でした。
まっすぐな無垢な瞳。子どもはいつだって、親を見ているんですよね。
そして、同時に、未来も、見ている。時間をかけて、育っていく子どもと
子どもと共に年を重ねる人生の大先輩の親。

人というのは、ほんと、尊くて、美しいですね。

さて、更に上へ上がりました。
3階で、今回の新作「ワイングラス連作」が展示されています。
作品は、全部で12作品。展示されているのを見て初めて
思ったより小さいんだなとわかりました。

どうしてワイングラスに、ワイン以外のものを入れようと思われたんでしょうね。
永遠の謎ですね。ワイングラスに、今年の枯れ葉が集められているかのようです。
毎日散歩しては拾ってきたものでしょうか。
やがて朽ちてゆく前の、ぱりっとした少しの固さ儚げに。
後ろの白いカーテンが、立役者さんなんです。
少し後ろに引いて見ると、とてもしっくりくるのです。
計算ですか、偶然の産物ですか。それとも苦労の連続ですか。
どこ吹く風に吹かれたし。心は既に空彼方。

キャンデー。チョコレート。甘いお菓子。色鮮やかな包み紙。
西さんも、甘いものを食べたりするのでしょうか。
家族皆さんで3時のお茶の時間におやつを食べたりするのでしょうか。
子供のころ、このひとつひとつの包み紙を開けるとき、
わくわくドキドキうきうきルンルン。甘くてとろけそうな。
緩やかな喜び、嬉しさでときめいていました。
きょうという日に、ひとつでいいから、よいことをしなさいと言われた。
そのひとつの、ご褒美。ささやかな、神様からのプレゼントだったような気がします。

ピン・ピン。カラフルピン! この色のバランスが絶妙~☆
こんなに、たくさん、小さくて、色もいろいろで、針もあって。
息を呑んでしまいます。根気比べ。だるまさんが転んだの時間。
描いている時、きっと、一回は、どこかが微かに動いたりしたのでは。
物がおさまる、ちょどよく、しっくりくるという現象には、
しっくりこない、という、目にもわかりやすいものよりも
はるかにわかりにくい部分が大きく影響しているような気がします。

たったひとつ、どれかのピンを外せば、崩れるかもしれない、緊張感。
個々のピンが重なり続け寄り添うことで、揺るがない安定感を保ち続ける
重みと充足感に満ちたワイングラスの後ろのカーテンのしわは、
やはり、見事です。全部の作品を、テレホンカードくらいの大きさにして、
それぞれのシワ模様を並べてみたいくらいです。

プチトマト。赤い赤い。ミニトマト。
この艶、ぷくっとした丸み、重なるところの影。うーん。見てて飽きない。
そして、描いているうちに、どこを描いてたか、どうなってたか、
わからなくならないのかなと不思議でいっぱいです。
勉強、修行、熟練の果てにここまでくるのは、なんとなくわかるのですが、
見ているうちに、逃げ出したくなったりしないのでしょうか。
それは、修行が足りないということでしょうか。

ずっと正確に見るということは、どうしたらできるんでしょうか。
私たちは、目から見たものを言葉やかたちや音にすることもできます。
でも描くということは、見た物を見たまま、見たとおりに写すことに尽くすということは、
自分の存在がぽっかり浮き上がってしまいそうな錯覚にすくわれそうな気がする。
自分が今何処にいて、どんなふうに相手に向って、
どのように描いていこうか、心構えのようなものをきちんと唱えていないと、
自分がうっかり、消えてなくなってしまいそうな気がします。

たまに、凄くびっくりするものを見たり聞いたり感じることがあります。
自分の了見の範疇内ではないことと遭遇した時、やな物を見たなと逃げたくなります。
目を背けたくなります。関わりたくないし、振り回されたくないし、距離を取りたくなります。

でも、「見る」ということは、見過ごしたり、見逃したり、見てたつもりだった、
実は見ていなかったとか、それら曖昧に、いっしょくただったりする現実。
混同させつつ、実は考えていなかった、どうしようも切り離せない「感じる」、
「感じ取る」、「どういうことなんだろうと考える」ことと繋がるのかもしれないですね。

考えながら見ることもありますので、感情が入ってしまいがちですが、
その前に、無の状態で一挙手一投足、投げかけられた言葉、姿勢、仕草、声色、
その瞬間に対象を見ることで入ってくる、さまざまな情報を、あらゆる面で、じっくりと、
いろいろな角度から捉えることができます。思考もじわじわと浸透させながら、
すべてのことを、手がかりに、いかすことができます。

遠巻きにしている問題や、置きっぱなしの整理されていない荷物も、
目の前で起きている、今という現実と向き合うことも、じっと絵を観ることも、
自分がそうしようと、そうしたいと思わない以上、何も進まない。
そして、何も生まれないのかも。

わたしは、見た物をそっくりそのまま上手に描いてるだけ、そんなのはつまらない。
と、つい、ちょっと前までそう思っていました。でも今は違います。
西さんの2階に展示されていた絵、3階のワイングラスの連作。
今日、見ただけで、わたしは、なんてたいしたことだろうと思うようになりました。

大昔から、人が、神を仰ぎ、焦がれ、請い、祈り、
我を忘れ、描き続けたように、画家の多くが、デッサン、模写などからはじまり、
今の時代のような忙しく、せせこましくない、大きな時代の流れの中で、
たっぷりと気が遠くなるくらいの膨大な時間をかけて描き続け、
何百年経っても尚、素晴らしいと鑑賞され続ける絵画を生み出しているという事実。

確かに、生きた、存在していた、ここにいたよという証でもありますよね。
昔は、便利なもの、携帯もデジカメもビデオもテレビも無くても
じゅうぶんにその時あるものだけで、絵を描いてきたんですものね。
そして、この西さんの細密画。ワイングラスの物語です。
もう、ただただ、うっとり。わたしはひとり、ただのミーハーな鑑賞者、です。

ワイングラスにアクセサリー。DMには無い作品で、見てすぐにひきこまれました。
普段、アクセサリーはあまり興味ないのですが、この絵を見て、
アクセサリーも素敵じゃない♪ と、思いました。
パール、真珠のイヤリング、金とパールのネックレスでしょうか。

葉っぱのような飾りをつけて。鎖がいいですね。
パールのそれぞれの玉に光が灯っているのが素敵。
ひとつひとつに命があるみたいに。わたしは、普段そんなふうに
アクセサリー売り場のディスプレイや展示場を見たことがあったろうか。
たいてい、上から下へ見下げてるだけ。それが、自分とほぼ同じくらいの目線に
ワイングラスの中に入ったアクセサリーを見る。なんて贅沢。
このアクセサリーなら、身につけてみたいと思いました。

わたしを呼んだもの。それはワイングラスとビー玉。
この絵、とっても好きです! わたしが子供のころ、好きだったビー玉に近い!

子どもの頃、ビー玉が大好きで、家の電気の光にいつもかざしていた。
炎のような、夢の世界。その空間を見ながら、空想して遊ぶのが大好きでした。
どうやったら、この中に入れるんだろうと思ったし、
この中に絶対、同じような世界があるって思ってた。
もう少し大きくなってからは、どうやったら作れるんだろうとは思ったけれど、
ビー玉は、いつも、終わりが無くて、永遠で、わたしを受け入れてくれた。

でも、引越しを重ねるうちに、ビー玉は捨てられてしまい、
大人になって気付いたら、子供のころに好きだったビー玉は無くなっていた。
なんか微妙に色柄が違う。これじゃない! 
思い出のビー玉は、こんなじゃない! いつも思っていた。
そのビー玉が、ここにある。
ひとつひとつが、光を浴びて、受けて、個々の時間を宿し
それぞれの物語を紡いでいる。わたしはきっと、いつまでだって、
このひとつひとつを手にとって何時間でも眺めていられることでしょう。

わたしは、この絵を見て、絵でこんなに描けてしまうなら、
写真なんていらないんじゃないかって、ちょっと思ってしまいました。
もしわたしがこの状態で写真を撮ったら、こんなに美しく、
ビー玉ひとつひとつを生き生きと撮れるだろうか。無理です。(きっぱり)

わたしは、この西さんのビー玉の絵に会えて、ほんとうに良かったです。
子どもの時に見た、光をかざしてみていたビー玉、
あの時の、空想していた輝きと、30数年経って、再会したのです。

記憶にあった、ビー玉の世界。それはわたしの夢幻空想だったのか、
半信半疑なところもありました。でも、このビー玉を見て、
幻でもいいじゃないかと思えてきました。
わたしは、子どもの時、確かに、見たし、記憶している。
わたしの中の思い出だけが、唯一、わたしとビー玉を繋げている。

そこに、この、西さんのワイングラスとビー玉の絵を見たことで、
かすかに薄れ消えかけていたものが、再び色濃く鮮やかに蘇ったのです。
嬉しかったです。ビー玉と、ワイングラスに、乾杯☆です。

ワイングラスと、フランスパン。
若かりし頃に、イタリアに旅行に行きました。
もう二度と行くことはないでしょう。そのイタリアで、
はじめてフランスパンを食べました。毎食毎食、必ず出るフランスパン。
帰ってからも暫らく、フランスパンでないと気が済まなかったくらいです。

ワインの記憶。本格的にワインを飲んだのは、そのイタリア旅行でした。
離島のようなところのコテージでディナーに頂いたワインが
あまりに美味しくて、感動して、名前を記録して帰りました。
お土産で買って帰るというところまでは頭が回らなかったのです。
帰ってから日本で探しましたが、ずっと見つかりませんでした。
その間も、カリフォルニアワインや、チリワイン、いろいろ飲みました。
当時、飲み友達がいたので、ランチコースにいっては、そのお店の
おススメのワインを頼んで飲んでいました。そして各お店で
飲んだワインのラベルをはがしてもらっていただいて帰ってました。
あるお店では、わたし達ように、ケースを作ってくれて、
毎回そこにラベルを貼ってもらってました。

数年して、ようやく見つかりました。なんてことは無い、
百貨店のリカーショップにありました。いざ期待高らかに飲んでみると、
思っていた味と違っていました。いや、こういう味だったのかもしれません。
あの日、あの時、あの場所で飲んだワインが、最高に最高に美味しかったのです。

青春時代でもあった、ワイン。楽しい思い出でした。夢は泡のように消えて。
飲み友達は結婚して海外に移住してしまいました。ワインはもう滅多に飲まないです。
味の思い出というよりも、誰と何処で。いや、誰と食べて飲んだか、でしょうね。

西さんの個展会場では、ピアノの音楽が流れていて、とってもあっていました。
フジ子・ヘミングとお聞きしました。この文章も、フジ子・ヘミングの演奏の、
「月の光(ドビュッシー)」「ノクターン(ショパン)」「愛の夢(リスト)」
をかけながら、写真画像を見て、思い出しながら書きました。

わたしが目で見たもの、加藤さんとお話ししたこと、頂いたお茶、
かかっていた音楽、ギャラリーツープラスさんの展示空間一体の雰囲気、
感じたこと、思ったこと、あの、12月18日という日。
今、こうして思い出して書き記していること。
すべてが繋がって、こうしてレポートは完成しました。

いつか、きっと、とびきりお気に入りのワイングラスを探し出し、出会いたい。
そして、自分と、一緒に食事を共にしてくれる家族のために、購入したいです。

西利則さん、素敵な個展を、どうもありがとうございました!

■西 利則
 Estudio del Sol II  http://www.asahi-net.or.jp/~xe3t-ns/
  1962年 東京生まれ
  1988年 渡西  スペイン、マドリード「プラド美術館」にて古典絵画の模写
        「シルクロ・デ・ビジャスアルテス絵画研究所」に学ぶ
  1990年 帰国
  2000年、2003年 個展 銀座教会付属画廊「アガペー」にて
  2004~2007年 創元展出品
  2007年 グループ展「ギャラリーツープラス」にて
  現在・無所属

●ギャラリーツープラス
 http://tentaikansokusya.com/
 東京都中央区銀座1-14-15 2階 TEL 03-3538-3322
 地下鉄・有楽町線「銀座一丁目駅」10番出口徒歩3分

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