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2008年9月20日 (土)

ギャラリーいさら「小島貞二 染色展」に行ってきました

東京都渋谷区・恵比寿にある「ギャラリーいさら」さんは、
クラフト縁にずっと個展情報をお寄せ頂いている、
お世話になってるギャラリーさんです。
かねてより、取材したいなあと思いながら、昨年3月にあった漆芸展など、
行きたかったのですが、なかなかタイミングがあいませんでした。
最近になって、今年と来年の予定が掲載されているのを発見。
おー♪助かる♪とかぶりつき* そして、わたしが
「鑑賞したい・取材したい」と選んだのが「小島貞二さんの染色展」でした。

2008年9月12日(金)、はじめてギャラリーいさらさんに行ってきました。
恵比寿駅東口から、まっすぐ徒歩6分、ほんとに近くてびっくり☆
ギャラリーの伊藤まりこさんと、ギャラリーを設計された、
(有)ハイプロジェクト1級建築士事務所の伊藤寛明さんと、初ご対面~♪

伊藤まりこさんに、少しだけお話伺いました。
「やっと、オープンして3年目になりました」 おめでとうございます~☆
「もともと、素敵なギャラリーさんがあって、漆が好きだったんです。
 それで、私も、漆作品などの、美術工芸品をご紹介したいと思い、
 ギャラリーを始めました」

実は、わたしも、漆、興味あるんです! 
でも、初心者には、敷居が高いようなイメージがありまして、
簡単に観に行けないような気がして・・・。そのことをお伝えすると

「そうなんです、そういうイメージがあるようなんですが、少しでも、
 若い方に、漆の良さを知ってもらって、最初はお箸一本でも、
 自分の家の食卓で、ほんものを使ってもらいたいです」

うわ~* 自宅の食卓に「ほんもの」を!* 素敵なお言葉~♪
背筋がしゃんとしますね! マットとか敷きたくなります*

漆は、いつかきっと、いさらさんで取材させてもらおう♪と、心に決めました*
ギャラリーいさらさん、どうもありがとうございます!

今日の主役は、染色展を開催中の、小島貞二さんです。
小島貞二さんって、どういう方なんだろう? とネットで検索すると、
愛知県豊橋市生まれ、出羽の海部屋の力士になるも、
力士としては芽は出ず・・・。でも文才があったようで、相撲や演芸評論、
放送作家として活躍。100冊以上の書籍を出版。
戦後から2003年、84歳で亡くなるまで、市川市で暮らした、という、
同姓同名の「小島貞二」さんについての記事がたくさんでてきます。

初ご対面の小島さんに、そのことを開口一番お伝えすると、
「そうなんだよ、よく言われる。僕は全然ネットはしないんだけどね。
 でも、ご縁があって、その小島さんと会う機会があって、
 パーティーに呼んで頂いたり、お付き合いさせて頂いたんですよ」

えええ~☆ 同姓同名の方と実際にお会いする事も、なかなか無いのに、
そのあとも、お付き合いがあったって、凄いですね! と、びっくり☆

「でしょう、そうなんだよ~」

いやあ、新鮮な驚きから始まった、この日の取材。
この後、小島さんの興味深いお話が続きます。

わたしは、全然、染色のことがわかりません。
小島さんにも、そのことはお伝えしました。個展DMに、
「型染、版染、絞り染、手描き染などの技法で染めた作品を展示します」
と書いてありましたが、どれが型染で、どれが版染で、
どうやってお作りになったとか、ひとつひとつ、聞いていこうと思っていました。
ところが・・・。

「もともと、どうして染色をされるようになったんですか?」
と、質問すると

「どうしてもなにも、父親が、小島悳次郎(とくじろう)で、
 型染、絞り染などやっていたからね。
 隣には、型絵染の人間国宝の芹沢銈介(せりざわけいすけ)が住んでいた。
 小さい頃から、父とおじちゃんが染物をしている環境にいたんだから、
 自然とね。もう40年やってます」

ひえーーーーーーーーっ。汗かきまくりです!
口から心臓が飛び出そうになりました。「せりざわけいすけ」という名は、
聞いたことありますが有名な方、くらいしか頭に無く、
特に調べたこともありませんでしたので、繋がっていたとは、ビックリですし、
お父様の悳次郎さんのことも知りませんでした。
なーーーんにも、知らないで堂々と本人に訊いてるわたしって、
ある意味チャレンジャーでしょうか。
もしかしたら、一括されて出直して来いとか、言われても仕方ないかも。
もう、ただただ、「失礼しました、すみません;」 小さくなるばかりです。

「この育った環境プラス、僕のベースはインドかな。
 30回以上、1年以上行ってる。友達がいて、家族同然」

インドですか?! これまたビックリです。でも作品を見渡すと、
額に入った神話のような絵を見て、そうなのかと感じました。

「昔の日本のよう、それ以上に、インドでは家族関係がしっかりしてるんです。
 家族と認められ、家族になると、守ってくれるのです。
 そのかわり、家族になったからには、習慣を守らなければなりません。
 我が家が日本とインド、二つあるのと同じです。
 インドの古い王国の美術品など、正真正銘の本物を見る経験も多かった。
 インドの影響を受けながら、インド更紗など、本物を知っていった。
 
 一般的な、外から見ただけでは、中には入れない。 
 中に入れたことで、今までと見方が変わりました」

あまりインドのことはよく知らないのですが、漠然と、宗教も言語も民族も多くて
砂漠が多くてカースト制度があって、でも頭のいい人が多くて・・・
くらいのことしか知りませんでした。こういう、一般的な外から見たことだけでは、
ほんとうの理解にはならないということでしょうかね。

「僕は、染の技法は全部応用している。混ぜ合わせたり、手で描いたり、
 沖縄の技法を取り入れたり、手間隙を惜しまない。
 なんでもやってみる。ためしてみる。
 個人でひとつひとつ、作っていくことは、
 お金をかけられないけれど、これは、僕の意志なんです。

 絵でも、そう、色だって同じ。ちょっと違うものを作り出すために、
 当然、皆さん、時間をかけて、数倍の努力をしている。

 芸術家、作家、アーティスト、いろんな呼び方があるけど
 どれも、他の人の真似じゃない、自分の意志。
 大量生産、早くて安くてという時代に逆らっているうちの、ひとりです」

「絵はアートって認めてもらえますよね。好き嫌いがわかりやすい。
 でも、染物は、使うものを作ることだから、
 より良いものを作ろうとしたら、材料は高いんです。
 だからこそ、手間隙が大事になってきます。
 
 日本の呉服の生地や帯も使っていますが、インドの生地も使っています。
 インドでは糸が一番高いんです。その次が布。染の値段が一番安いんです。
 日本では絵の具が高いですからね。インドのラピスラズリとか、
 トルコ石などを取り寄せて砕いて、絵の具を作って顔料としています」

トルコ石とか砕いちゃうんですか?! と、驚くと
「なんでも砕くよ。とりあえず潰して、綺麗なところを使う。
 わかったことはね、透明感のある石は、どうやっても鼠色にしかならない。
 それで、ほんとの透明はね、白になるの」

嬉しそうに話す小島さん。普段、わたしが素敵~♪ と、眺めている
パワーストーンなどを、小島さんが砕いて潰してるのかと想像すると、
うるうるきます。。。

「いろんなものを使ってね、いろんなことをやってみることだね」

そうかー。砕いたストーンの色とかが、
小島さんの染物に染みこんでいるんだなあと感じました。

「インドでは、五大要素といって、空、風、火、水、土だったかな。
 この掛かっているのは『砂漠の街』という題名なんだけど、
 朝、昼、晩と太陽の光が入って、川の流れに沿って文化ができていく
 という意識です」

そうなのかーと、ここまで聞いてて、やっと合点がいきました。
見るからに絵画のようなカラフルな色合い。
最初は「インド」と聞いてぴんときませんでしたが、
このひとつひとつの色が、全部、小島さんが経験した、
体感した、吸収したインドであり、その色だったんだなあと。

「よくテレビなんかで、インドの秘法とか王国の番組なんかを
 やってるとね、あ、俺、ここ行ったよ! 俺、ここ知ってるよ、
 これ見たよ! というのが多いんです。その時気がつくの。
 本当に、テレビなんかで見るよりも、断然、数倍、
 素晴らしいものを、たくさん現地で、この目で見る経験をしてきた。
 皆から、体験したことを是非、本にしてと言われるんだけど、
 なにせ、なんにもメモしていないから。
 書く為には、いろいろ調べなくちゃいけないでしょう。
 講演会は何回かやったことあるんだけど。
 誰か、こうやって話を聞いてくれて、本にしてくれたらいいんだけどね」

いやいや、この、今日という1日の、たった数時間、
お話を聞いただけでも、凄い、知らなかったことだらけで、
感動の連続です! これは是非、本にして頂かないと*

「インドのからっからの砂漠で、火を燃やしたことがあってね。
 透明だったんだよ。とっても神秘的だった。
 日本で見る火のイメージと全然違う。

 日本に帰った時、昔ね、まだ今ほど厳しくない時、
 今だと消防車が来ちゃうだろうけど、
 あのインドの透明の焚き火が忘れられなくて、
 いろんな物を燃やしてみたことがあって。

 さすがに透明にはならなかった。湿気や材木にもよるんだろうけど、
 燃やすものによって、いろんな色がある、色が違うということを知ったよ」

インドで透明の焚き火・・・想像すると、ロマンチックです☆
きっと、もうなにも考えられない、無心になっちゃうでしょうね。
小島さん、インドの石を砕いて潰して絵の具にしたように、
日本でも、いろんな物を燃やして火の色を、つぶさに観察していたんですね。
いやはや、さすがです!

「インドでは、王様の子どもに、動物にたとえた寓話で、
 帝王学を教えていて、五つの教え『パンチャ・タンタラ』として
 二千年近くの歴史があり、イソップ童話のもとになったとも言われています。
 これは、その寓話のお話のシーンの型絵です」

う~ん。とても綺麗です。この日いらしてたお客様も、皆さん、
この絵を手にとって見入ってらっしゃいました。
額の無いバージョンもあって、選び迷っちゃいました。

「基礎は、地味でめんどくさいもの。すっとばしたくなる。
 でも、布でも、絵でも、なんでも同じ。
 基礎さえしっかりしていれば、応用できる。
 
 思った通りのものを作りあげる為には、
 いろんなことを試してみること。経験すること。それに尽きます」

インドのお話しで盛り上がり、それでも一貫して
「基礎が大事」と小島さん。
わたしは、染の基本とか何にも知らないのに
一足飛びで今日、ここに来てしまった感じがしますが、
純粋に、染物に限らず、絵でも、仕事でも、何でも、この言葉は響きます。

「東京の福生市の小学校3年生から6年生の恒例行事で
 藍染め体験をやってるんですよ。
 本人達が着る物、身につける物を課題にしてるんですが、
 瞬間的に、一瞬にアドバイスをしていくから、
 ひとりひとりの子に時間をかけられないけど、
 一生懸命丁寧にやってる子もいれば、手で押さえてその形に染めた子、
 ぐるぐるっと結んで開いて雑巾にしてる子もいる、見てて面白いですよ。
 6年生になると、洒落っ気がでてきて、いろいろ工夫したくなってくる。
 段々、自分の”こうしたい”っていう意志がでてくるんです。
 意識するのは、大人も子どもも同じなんですね。
 
 運動会では、藍染のTシャツにハチマキをするんです。
 ひとりひとりちょっとずつ違う柄で、初めて見る先生なんかは感激しています。
 子どもも、素直な子もいれば、出したくない子もいる。
 いろんなことを、参考にしてもらえたらと思います」

小島さんのお話を伺って、思ったのは、
手から感じる感覚というのは、とても奥深い、広いものだというのは
自分でもなんとなく感じます。水の冷たさ、布の厚み、シワの重なり、
液体がしたたり伝い、落ちてゆく感触、わたしたちは、何も知らない
というところからはじまり、五感を開いて感じて知ってゆきます。

多感で好奇心旺盛、無垢な小学生時代に手から伝わった、
教わった感覚は、きっと思い出のひとつして、
じぶんの基盤に染み込んでいくことでしょう。

今回の展示で、小島さんの額に入った絵のような作品に、
凄くひかれました。ここで、ご紹介させていただきますね。

鳥さん。色の間の金色の部分がたまりません*

お花。伸びる花と、鎮座する花。上に浮かんでる丸いものが好き~*

これは、牛と鴨でしょうか?暖炉の上にいるのかな??

こちら、すっごい好きです~*** 鳥さんは、何をくわえているんだろう*

はい、こちらが一番好きです~♪♪ 馬の置物でしょうか?
お花が咲いて?? 空に丸いものが浮かんでいて。濃い青の背景。
うっとりです~***

「インドは外国という感じがしない。20代から通い、接してきた。
 インドでは、送り火の火でパパド(インドのせんべい)を焼いて食べるんです。
 送り火や、もちを焼いて食べるなど、日本の習慣と似ているところもある。
 東京とインド、故郷が二つあるという気持ちでいます」

染色のことを、ちっとも知らないわたし、結局、
技法のことなど、全くお聞きしないで終わってしまいましたが、
インドのお話がとても面白かったので、ほんと、終わるのが勿体無かったです。
幾らでも、お話が出てきそうな小島さん。
いつか、是非、インドの御本をお出しになってもらいたいものです!

「最後に、素朴な質問なんですけど、小島さんが作られた、
 この作品の数々って、インドのご家族の方たちには見せたりするんですか?」

「見せない」 即答で笑顔で首を振る小島さん。

「えーーっ!? 見せないんですか、なんでですかー!」 これまた驚き*

「・・・あるよ、あるけどね、なんでインドにあるもの使わないんだって言われた」
と、ちょっと照れくさそうな、恥ずかしそうな小島さん。

お話を聞くまでは、全然わからなかった、小島さんのインドとの繋がり。
わたしなんかが想像もできないくらいの、数々のものを見て、聴いて、
接して、感じて、いろんなことを試して形にしてきた、
人生の大先輩の小島さんには、日本という基礎、
鍛錬の末に柔らかく培われた豊かな土壌の中に、
インドの川が流れ、インドの風が吹き、インドの石が零れ転がり、
あの、透明で神秘的な、インドの火が灯っているんだなあと感じました。

帰ったら、とうぶん見れなくなる。目に焼き付けよう。
暮れゆく中、閉店時間ぎりぎり(ちょっと過ぎてたかな?!)まで
離れられませんでした。帰るのが名残惜しくなるほど、
お話も、展示作品も、面白くて楽しかったです☆
小島貞二さん、このたびは、貴重なお話し、どうもありがとうございました!

■展示会場
  ギャラリーいさら
  http://ameblo.jp/g-isara/
  東京都渋谷区恵比寿1-26-19 カラコル5-1F 
  TEL&FAX: 03-3446-8878 (会期中)
  問合せ: TEL&FAX 043-263-2094 (伊藤)
  交通: 恵比寿駅東口より徒歩6分

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