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2007年12月19日 (水)

ぎゃらりー由芽「桐村 茜展A & JUANITA IN NY KIRIMURA Akane EXHIBITION」に行って来ました

さかのぼりまして、12月2日(日)は、
東京の三鷹にある「ぎゃらりー由芽」さんに行ってきました。

三鷹は行くの初めてです。降りてみたら、住宅街なんですね。
大きなバス通りもあって、南口には、商店街があって。
こういうところ、好きですよ。暮らしやすそうです。
なんとなく、千葉の柏に似てるかなと思いました。

ぎゃらりー由芽さんは、思えば、わたしが(うちが)クラフト縁の運営を継承して、
リニューアルスタートした頃から、ずっと展示会情報をお寄せ下さる、
いつもお世話になってるギャラリーさんです。
いつか行かねばと思いつつ、やっとこれました。

ぎゃらりー由芽さんでは、ちょうど、
「桐村茜展 A & JUANITA IN NY KIRIMURA Akane EXHIBITION」
が開催中でした。
行くと、桐村さんご本人様がいらっしゃいました。
うわうわ、びっくりです~!わたし、運がいいです~*

昨年、ホームステイをしていたという、ニューヨークでの記録の
写真などを、展示されていました。

見ていると、桐村さんが、カセットテープをスタートしてくださいました。
ニューヨークでの生活の日常の音を録音したものだそうです。
かたかたという、こすれるような音や、歩く音、車の音、
ドアの開く音、いろいろな音が聞こえてきます。
これらの音と共に、ニューヨークという街を、写真で感じていきます。

桐村さんは、昨年の3ヶ月間、アメリカニューヨークのイーストビレッジで
ファニータさんという、おばあちゃんのお家にホームステイし、そこから、
マンハッタンにある、版画のアトリエの仕事に通ったそうです。

ファニータさんは、お子さんが8人、お孫さんが21人いるのだとか。
ご主人とフィリピンに住んでいたのですが、50歳の時に、
アメリカにいる子ども達に呼ばれて、ニューヨークにやってきたのだそうです。
ファニータさん、コカコーラが大好きで、食事中も欠かさないそうです。
それでは、展示されてる写真を幾つか、ご紹介しますね。

りすさん。中庭かな?

マンハッタンの、版画のアトリエだそうです。

一瞬、日本と見間違えそうです。

これが、ニューヨークの地下鉄なんですね。

仕事部屋かな?

ファニータさんですね。赤いマフラーが眩しい。
なんだか、どっかしら自分のおばあちゃんを重ねてしまいます。
後ろに写ってる茶色の食器棚など、まさに自分の家の実家を
思い出します*「元気してたかい?」なんて話が始まりそうな。

嗚呼~、わたし、この写真、とっても好きです。
大きくして額に入れたいくらい。なんか音が聞こえてきそう。
声かけてくれてるかもしれない。「お買物、どうだった~?」なんて。
それにしても、あれ、換気扇でしょうか。2つもある!しかも赤い!
真っ赤な換気扇☆さ~す~が、アメリカ!*(いや、なんとなく)
こうして、写真を1枚1枚見ている間、ずっとテープが流れているんです。
家の中の音や街の音など、不思議と臨場感ありましたね。

こちらがわの壁には、なにやら地図と写真が。
ニューヨーク・マンハッタンの、ロングアイランド鉄道(LLIR)だそうです。
行った場所の写真を額に入れてこんなふうに展示するというのは、
はじめてみました。面白いです。

これだけ写真がいっぱいあると、目移りしてしまいます。心がはやる*

モノクロだけど、木の表情が角度によって違って。
同じ物語を2人の監督が映画にすると全然違うものになる、みたいな。

一枚ごとに額に入れて飾られてる一冊の写真集を見た感じがしました。

ニューヨークで売ってたものだそうです。なんかこの展示会にあってます*

ホームステイはどうでしたか?とお伺いすると、
「アメリカの個人主義と、日本の高度成長期前の、古き良き時代みたいな、
 アジアのあたたかさがミックスされて、いいかんじで過ごせました。
 いつも帰ると、ちゃんとご飯食べたの?と心配してくれて。
 英語もさほど苦労する事も無く、いい経験になりました」

「3ヶ月間、ニューヨークにいて感じたのは、
 このエネルギーは何処から来るんだろう、ということでした。
 元気なエネルギーが溢れている。アメリカといっても広いですから、
 西海岸やテキサス州や、場所が変われば違うと思うんですが、
 とにかく、ニューヨークはお金の話が多かった。
 会話の端々に必ずお金の話があって、
 お金の価値感というものを考えさせられました」

「これは、ニューヨークの地下鉄にある、彫刻。
 頭がドル袋になってます。
 この彫刻に象徴されてますね。
 ニューヨークで美術関係の方と話したときに、
 『あなたは、フランスにいるの?フランスは美の国だから、
  美を作るところ。美しければ良いけれど、ニューヨークは違う。
  ニューヨークはお金を作るところ』
  そういわれたとき、なるほどなと思いました。
 ニューヨークはまさに、ビジネスの本拠地なんですね」

桐村さんは、京都生まれ。武蔵野美術大学を卒業した後、
パリのシテデザール(国際芸術都市)滞在のためにフランスに渡り、
そのままパリでアトリエを持ち、パリで活動をしているのだそうです。

「15年前ですね。1年だけ行くつもりが、行ってみたら、
 世界中のいろんな人たちが来るんです。
 アトリエのついた住居で、いろんな国の、いろんな価値感、
 それぞれの国のアートの個性を目の当たりにして、
 日本で抱いていた価値観が壊れました。
 今思うに、フランスで、回りにフランス人しかいないところだったら、
 フランスにどっぷりとひたってしまっていたと思う。
 アジアやアフリカ、モロッコなど、いろんな国の人に会えたことで、
 とても刺激を受けましたし、固まらないですんだんだと思います。
 そのまま、パリでアパートを借りて、共同の版画工房に通い続け、
 版画工房では、銅版画を制作して今に至ります」

わたしは、自分自身が外国には旅行でしか行った事が無いので、
外国で暮らす、しかも、生活をしながら、創作活動をするというのは、
想像しただけでも、大変なんじゃないかと思うのですが、
実際にされてる方がいるんですものねえ。世の中、いろいろな人がいますね。
下調べなどしないで、飛び入りで行ったので、お話を聞きながら
フランスのシテデザール。そんなところがあるのか~☆と初めて知りました。
というか、外国で創作活動をされている日本人作家さんにお会いして
お話を伺うのは、初めてですね*テンションあがります!

「フランスで銅版画を作る生活から、昨年、3ヶ月だけ、
 マンハッタンの版画のアトリエの仕事に通う為に、
 ニューヨークのファニータさんのお家にホームステイしたのですが、
 フランスからニューヨークに行って、カルチャーショックが凄かった。
 アメリカに行って、はじめて自分がフランスよりだったことに気がつきました」


 
「フランスという国で作っているから、フランス的だったと、ふと感じたんです。
 作っていて、住んでいるところの空気が入るのは当たり前なんです。
 日本は空気が水気を含んで湿気が多いですが、フランスは乾燥しています。
 ですから、色も違って見えるんですよ。日本人の好みと
 外国人の好みが違うのも、こういうところからきてると思います。
 ニューヨークに行った事で、気がついたこと、これもいい経験。
 もっと深いところを見つめよう、もう1回、自分の価値観を築き上げよう。
 常に精神的に開いていたい、そう思いました」

わたしには、海外という異国の地でひとりで住んで創作活動をするなんて
考えたこともないし、憧れのまなざしでいっぱいですが、
15年もの間、フランスで銅版画などを作り続けてきた桐村さんが、
3ヶ月。たった3ヶ月、ニューヨークにホームステイしたことから、
桐村さんなりに思うことがあったこと。いつも版画の個展等をされているのを、
今回は、この3ヶ月の記録という、いつもと違う個展だけれども、
桐村さんの創作活動において、確実に新しい発見があったこと。
これは一種のプレゼントじゃないでしょうかね。
キャッチできるかどうかは人ぞれぞれで、桐村さんはキャッチした。
なんだか、お話を伺っていて、嬉しくなってきました。

「イタリアでもね、南北に長いでしょう。
 だから、南の人はなまけものが多いとよく聞きます。
 逆に北の人は、スイスから人が流れているのもあって、
 勤勉で真面目、仕事を一生懸命する。同じ国でもこんなに違う。
 日本はどう?大阪とかは、お金に厳しいの?」

「大阪は、そうですね。せこいおばちゃんとかいますね(笑)
 日本でも北のほうの人は口数少なくて実直でって聞きます。
 沖縄とかは、あったかいから、
 仕事をしないでなまけちゃう人が多いと聞いたことあります」

そんな話しから、
「日本は、鎖国時代があったから、移民が少なくて」とか、
「日本は、教育が行き届いてるわよね」という話になり

「わたしもびっくりしたんだけど、フランスはね、
 実は、文盲の人が10パーセントもいるのよ」
と聞き、驚きました。

フランスって、芸術の都パリで有名で観光名所で、
フランス語も流暢で優美な国だとしか思っていませんでした。
観光旅行のパンフレットの写真のイメージといいますか。

「フランスは、伝統や歴史を重んじて、芸術にはとても力を入れて
 政府が優遇してくれる。でも、閉鎖的というか、なかなか新しい改革や
 発展に進んでいかないところがある。
 そのてん、ニューヨークは、いろんな国の人がいるから、
 歴史よりも、個々の人の、前へ前へ生きるパワーや活力が尊重される。
 その違いに気がつくことができたのも、大きいですね」

普段から、まったく、海外、外国に興味が無い、わたし。
旅行で行ったタイとイタリアは楽しかった。もう1度行きたい。
でも、その程度。わたしたちが、日々、こうして暮らして、考え、悩み、
思いを馳せている今、同じように、他の国でも
人々が食べたり笑ったり眠ったり泣いていたり祈っていたりする。
そして、同じ日本人でも外国に行って、その環境の中で
自分を見つめ、模索し、極め、表現している人たちがいるということ。
ぎゃらりー由芽さんに行かなかったら、桐村さんの個展がやっていなかったら、
また、桐村さんにお会いしてお話を伺っていなかったら、
このようなことを考える機会も無かったと思います。

今回、まったく予想だにしていなかった展開で、
こんなふうに、いろいろお話をお伺いすることができて、とっても楽しかったです。
やはり、作家さんご本人さまから直接お話を聞けるのはありがたいですね。
それにしても、いつも思うのですが、知らないだけで、
目の前にいる方は、もしかしてスゴイ人なんじゃ??と思いつつも、
今回も、桐村さんが、ご丁寧に楽しくお話しくださったので
かなりリラックスして和んでしまいました。
途中、ギャラリーの久保さんにも初ご対面してきました☆

さて、最後に、入り口付近に飾られていた、
桐村さんの銅版画作品をご紹介して終わりにしたいと思います。

すっごい、お洒落です!これ、銅版画なんですか??
こんなに繊細なんでしたっけ?

うわ~。青色好きとしては、たまりません。
青色と金色って、あうんだなあとしみじみ♪

もし、フランスで作っていたとしたら、この額の中に、
フランスの空気が、一緒に閉じこまれてるんでしょうか。
そう考えると、ちょっと素敵です。彫刻や版画、銅版画って、
刻み込む、もしくは、削りだすイメージがあるのですが、
その一瞬のエナジーが封じ込まれてると思うと、うっとりです。

今回、桐村さんの個展を見て思ったのは、
わたしなんて、まだまだなにも知らない事ばかりで、
この世の中は、もっともっと広くて大きくて高いところがあるということ。
価値観は固定されるものではなく、変っていくものなんだ。
吸収して幅を広げていくから、いろんなことに気がつける。
自分の頭の中だけで自分の都合のいいように、自分を見ずに、
客観的に、環境や置かれている状況から自分を見ることができたとき、
タマネギの皮をむくと、やがて小さなシンに到着するように。
自分というものをはいでいく先には、いつか、自分の中の不変的な、
大切にしたいものに近づけるのかもしれない。そのためには。
まだまだ勉強ですね!世の中は知らない事がいっぱいだ!
今日も知らなかった事をひとつ、知ることができた。
それだけで、とっても嬉しくて、ありがたいです☆

桐村さんは、普段は、フランスで活動されていて、
1年に1回、日本で個展を開催する時に帰国するそうです。
来年は、11月に開催予定です。
いつかきっと、銅版画作品の個展が見れることでしょう。
どんなふうなのか、今からとっても楽しみです。

桐村茜さん、ぎゃらりー由芽の久保さん、
どうもありがとうございました!

■ぎゃらり-由芽
 http://www1.parkcity.ne.jp/g-yume
 東京都三鷹市下連雀4-15-2 ホワイトマンション101
 TEL:0422-47-5241 FAX:0422-47-5034 
 JR三鷹駅南口中央通り徒歩5分

■桐村茜
 ・京都生まれ 武蔵野美術大学 美術学科(油絵専攻)卒業
 ・1992年 パリのシテデザール(国際芸術都市)滞在のために渡仏、
 ・2001年、パリ郊外に仏政府のアトリエを得、活動の場を移し現在に至る。
 ・2006年 文化庁、海外特別研修員としてニューヨーク滞在
 ・フランスメゾン・ド・アーチスト会員、日本美術家連盟会員

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