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2007年8月28日 (火)

コーヒー&ギャラリーゑいじうさん・高滝美和子さん個展「WATASI展」に行ってきました

8月もいよいよ終わりになりますね。
厳しい暑さでしたが、みなさん、楽しい夏をお過ごしになられましたか?

8月2日(土)、高円寺のばぶるすさんの取材のあと、
ふと思いつき、電車で新宿にとび、ずっとずっと行きたかった、
「コーヒー&ギャラリーゑいじう」さんに行ってきました!

ちょうど、高滝美和子さんの「WATASI展」が開催されてまして
DM見たときから「絶対行きたい!」と思っていました。
高滝さんのサイトに、在日予定と書いてあったので、
会えたらいいな♪という、わくわくドキドキ感でいっぱいでした。

いつもなら、取材用にと、伺ったお話をメモとりまくるのですが、
今回残念ながら紙がなく、メモをとることができませんでした。

そんなこんなで、ほんとに、もう、わたしの記憶と写真だけが頼りの、
正真正銘「今年の夏の思い出」レポートになっています。

去り行く夏に、みなさまには、目にも涼しい、すてきなギャラリー&
展示風景の写真をご覧頂いて、ゆっくりしていただきたいと思います☆

さて、午後の日差しを浴びながら、汗だくで道に迷いつつ、
こんな細い道を行っていいの?!人んちの敷地じゃないの??と
ドキドキしながら小道を抜け、ようやく着いたら、一足遅かった…。
入れ違いで、高滝さんはお帰りになられたとのこと。
残念です!!でも、きっといつかまた会えると思います♪
気を取り直し、1階カフェにいらした、オーナーの奥様
(?こういうとき、なんと書いたらよいのでしょう?)に許可を頂いて、
写真を撮ったり、2階ギャラリーで観賞させていただきました。

まずとにかく思ったのは、1階カフェスペースに展示されている写真が
白い壁と茶色のテーブルなどにあっていて、とても落ち着きます~。
2階に上がる階段脇にも、お花の写真がずらり。

ひとつひとつの写真に説明が細かく書いてあって楽しかったです。
写真ってすごいなと思うのは、自分では知らなかった、
例えば、植物や景色、世界、風景、人、表情など見ることが出来ない、
見たことが無いものを、写真で自分は今の場所から
この写真を通して見る事ができるんです。そして、写真から、
どんなことを思って撮ったんだろう、何処を見せたかったんだろう、
撮った人は、どこに魅かれたんだろう、わたしならここだな、と
勝手に想像できるのが、楽しかったりします。
写真は奥が深いですな~*

うわ~!!2階はとってもすっきりとしてて、窓から光が入って、
いっきに「ゆったりモード」突入しちゃいました*

振りかえるとオルガン・・・じゃなくてピアノ!素敵です♪
左棚は、ポストカード作品が並んでました。

暑さが引いて落ち着いたのと、心地よい疲れ、静けさもあいまって、
お友達のお家に遊びに来て2階の友達の部屋にいるような感覚がします。

改めて、みていきましょうか。切り絵ですね。高滝美和子さんは、写真も撮り、
切り絵もされるんですね。左手前にある「天然クリスマスツリー」はいいですね。
ご自分の家の庭の木にクリスマスツリーの飾りをつけたそうです。

右手前にある「いもうと」。高滝さんの妹さんは、1歳違い。
小さいころは2人で同じワンピースを着て双子と間違えられたそうです。
こちらも、好きです。わたしが、妹が12歳離れていたので、
とってもとっても可愛くて、中学時代、妹を連れて公園に行ったり
抱っこしたりおんぶしたり遊んだ記憶が沢山あるんです。
その記憶が思い浮かびました。その妹も今ではお母さんです。
赤ちゃん産んだばかりで抱っこしてミルクあげてます。感慨深いです。

題名がわかりませんが、手前のブランコ、いいですねえ。
ブランコって、子供の象徴のような気がしませんか?
大人になると、保母さんや幼稚園の先生や、親として子育ての一貫で
子供と遊ばないかぎり、なかなか一人じゃ乗りません。
子供だと、無心で乗れます。大人になってからは・・・無心じゃいられません。
揺れるブランコに乗りつつ、自分さえも揺れてしまう、
そんな自分を再確認してしまいます。ブランコをただただ楽しんで、
高く高くこいでた子供時代。もっと高くこげるんだと、
大きくなれば、大人になれば、どんなこともできるんだと
夢高らかに焦がれていたあの頃が、遠く懐かしいです。
奥の、「月を思う」も、しっとりしていて好きです。
説明に、月を見るのはとても好きと書いてあって、わたしと同じだ♪
と、嬉しくなりました。興味深かったのは「かぐや姫」と「竹取物語」は
同じ話のはずなのに、読んだ後、違うような感想を抱いたというようなことが
書いてあって、印象に残りましたね。

干支シリーズ。寅が、上から見ると、浮き上がって見えるのが面白いです*

こちらは、オルガンの上に飾ってあった、申。いい表情しています。
子猿の、「ねえ、母ちゃん」みたいな、何気ない顔がいいです。
お母さん猿の、夕飯何にしようかねみたいな表情も好き。
お父さんもお母さんも、子供が小さいうちは、
自分の膝の上に座らせるように抱っこしたりしますよね。
あれって、ほんと、子供の特権ですよ。子供の永遠の特等席です。
大人になってしまうと、あそこには戻れませんからね。。

低いテーブルというのがとてもいいですね。座った位置から、ぐるりと
展示風景を見渡せます。立って見るのと、また違います。

「かくれんぼの木」という絵。高滝さんの育ったお家の中庭には、
低くてしかも座りやすい柘植の木があったそうです。
登ると、ちょっと目線が高くなることで、気持ちも変り、
高滝さんの大好きな場所になったそうです。

こちらはなんだろう?と思ったら、高滝さんのお父様が描かれた、
昔のレコードジャケットに写っていた、外国のスターたち。
(だったかな?記憶がかすかで、すみません)
それにしても、高滝さんのお父様、すごい達筆ですね!!

高滝美和子さんから、こんなメッセージが展示されていました。
中でも気に入った部分を、抜粋します。

「たくさんのことが好きです。
 本を読むこと・歌ったり、ピアノを弾いたりすること、
 料理を作ること・花を種から育てること、花の写真を撮ること、
 絵を描くこと、詩や短歌をかくこと、ストーリー等を書くこと…etc。
 広く浅くなんでしょうけど、それでも好きなことがあるってことは、
 とても幸せなことなのかな?」

お花の写真、切り絵、子供時代の思い出、妹さん、お母様、
お父様の残した絵、それぞれが、高滝さんになくてはならない、
高滝さんを形成するものなのだと思います。
だって、高滝さんの、好きなものばかりなのだから。

暑い夏真っ盛りだった8月2日の夕方。
わたしは、誰もいない2階ギャラリーで、
高滝さんから生み出された切り絵や写真に囲まれながら、
会ったこともない、知らない高滝さんという方の
かすかな歴史の余韻に、「きてよかった…♪」
いつのまにか、自分の部屋にいるような気分で、ひたってしまったのでした。
あ~帰りたくない(笑)

1階に下りて、アボガドレモンを注文し、
マスターの奥様から、貴重な話をお伺いしました!
何度「あ~っメモしたい!!」と思ったことか(><)
「いつもは、メモするんですけど、すみません、今回は
 メモがないんで、ごめんなさい」と事情を話したところ、

「メモなんてねえ、いいのよ。ああ、こういうこと、話してたなあって 
 ふと、思い出すものだから、それでいいのよ」
とおっしゃっていただき、ほっとしました。。

この猫ちゃんのポストカードはただでいただきました*
ゑいじうさんのラッキーキャット。幸せを呼ぶ猫ちゃんでしょうか。
なんでも、捨て猫が、からすに攻撃されていたのを見て、助け出し、
飼い始めたところ、双子の妹さんが「わたしも飼いたい」となり、
たまたま路上で、お家で生まれた赤ちゃん猫の里親さんを
探していた少女(偶然にも、彼女達も双子!!)と出会い、
これがきっかけで妹さんは、その猫ちゃんを譲り受けたそうです!
だから、お腹の中にもう1匹猫がいるんですね、納得です♪

テーブルの上にある、魚の器も可愛いです!このブルーベリーは、
ゑいじうさんのお庭で育てているそうです☆かわいい~♪

こちらは、1階カフェにあるカウンター!素敵ですよね~♪
そして、ひときわ存在感ある、この絵!!
奥様が大好きな、スズキコージさんが描いた絵だそうです!
スズキコージさんには、ゑいじうさんの看板も作って頂いたそうです。

「最近なんだか、いろんな本に載ってねえ」
「これにも載ったのよ、これにも」
とご親切に、いろんな本を見せてくださいました。
すごいですね~!さすが人気があるわけだ!と納得。

お話しによると、もともと、ずっと仕事・仕事で、働き詰めで、
休みにどこかに出掛けることもなく、旅行に行く事も無かったのだとか。
ある日、スズキコージさんの絵を偶然見て、とても救われたのだそうです。
それ以来、スズキコージさんのファンで、絵を集めているそうです。
そんななか、旦那さまの仕事の節目もあり、
この建物が、中古住宅として売られていたこともあって、

「1階をコーヒーが飲めるカフェにして2階でギャラリーをしない?」
とプランを打ち明けたところ、旦那さま、意外にも、すんなり快諾。
これには奥様も驚いたとか。

こうして、オープンして7年になるそうです。
7年って長いですよね?!とびっくりしていると
「そう?そういえばね、近所に、やなせたかしさんがいらっしゃって・・」

最初は何度か挨拶などのお手紙を送ったものの、特になにもなく、
そのうち、あるとき、ふいといらしてくださって、
店内を見た後、あまりもうからなそうなギャラリーだねえというような
意味合いの言葉を頂戴し、その後、展示会などもしてくださったそうで、
「ギャラリーは誰でもできる。開く事は簡単に出来るけど、
 5年続けることができるかどうかだ」と言われたそうです。

「だから、5年経ったときはね~、5年経って、ようやく、落ち着きました」
と、ほっとしたような笑顔の奥様。

聞くところによると、2階のギャラリーは
月曜日から土曜日までの6日間が基本。日曜日がお休みで、
毎週毎週めまぐるしく月曜日から土曜日まで
展示会の入れ替えとお片づけがあるのかと思うと
大変じゃないですか?!それを今まで7年…?!すごいですね!!

「ほんとね~~おかげさまで、近所にセツ・モードセミナーや、
 東洋美術学校もあるし、地域がら、若い学生さんも多いし、
 安いこともあって、リピーターの方も多いのでね!」

リピーター。確かに、この2階のギャラリー空間は、
とっても展示したくなる空間です。作品によって、展示の仕方によって
全然違ってくるでしょうね。しかも、この1階のカフェコーナーが、またいい*

なんでも、設計は、設計士さんにお願いし、
家具などはひとつのところで統一してそろえたそうです。

「毎年、クリスマスに、カレンダー展をやって、
 そのあと、スズキコージさんに原画展を開催してもらって、
 それで年が暮れて1年が終るの」

かなりそれって目玉イベントですね!毎年ですか?!

「そう。毎年ね~今年は大丈夫ですか?って聞くのがね~」
お仕事などで、お忙しいですもんね、いつ断られるかどきどきですよね。。
笑顔だけれども、毎年はらはらされてるのが伝わり、
こっちもはらはらしてきましたw

「それから、荒井良二さん、知ってる?
 荒井さんはね、毎年毎年、カレンダー展で、
 直筆で13枚描いてくださるの。ファン必見。毎年大人気なの!」

わたくし、荒井良二さんも、スズキコージさんも、知りませんでした。
きっと有名ですよね…。大御所ですよね?うわ~わたし、
もっと勉強しなくちゃと、汗かきまくりでした~。。。
それにしても、ファンの方にはきっとたまらないことでしょうね。
確かに直筆カレンダー、原画など、聞いただけでテンション上がります☆

ところで、なんで、ゑいじうさんというお名前なんですか?
と聞いたところ、

「いろいろ考えたんだけどね~なんかしっくりこなくて。
 最終的に、お互いの両親の名前からとった」そうです!
これまた、びっくり。そういうこともあるんですね~♪

最後に、とても印象的だったのが
昨今、ギャラリーをやりたくて準備して開店する方多いと思います。
ギャラリーをやりたい、カフェをやりたい、雑貨屋をやりたい、
そういう夢を持ってる方、多いと思います。

ところが、ゑいじうさんは、オーナー御夫婦、2人とも、
最初からギャラリーをする気はなかったそうです。
ギャラリーをしたいと思ったことは全くなくて、
何故かこうなってしまった。するつもりなかったのに、
気がつけば、結果、こういうことになった。

もし、自分で少しでもギャラリーをしたいと考え、
人に相談していたら、反対されて辞めていたかもしれない。
誰にも相談しなかったから、できたとお話しする奥様は
目をくりくりされて、始終笑顔で、

こうなるとは夢にも思わなかったけど、こうなっちゃったのと
そんな状況をとても楽しんでいるような感じでした。

決めていないのに、そうなることもある・・・・?
そんなこともあるんんだ・・・・・
奥様の笑顔を見ているうちに、
すっと自分の中を風が通り過ぎる感覚がしました。
一瞬のうちに、自分を客観的に見つめることになりました。

わたしは、自分の人生は自分で決めるものだと思ってきました。
自分で目標や夢を決め、その実現に向かって努力をし、
人間性を高めていくことが、自分の人生に必要だと信じていた。
そのためには、何事も、決める事が一番先で、
決めたとおりに動かないと嫌だし、決めたとおりにならないと
失速する自分を恐れている部分があること。
自分の実績に評価が伴っていないと、
自信も目標も自分さえも見失ってしまうところがあること。
でもそれは、何故かというと、自分のためだったから。
そういう部分がまだまだあることに、気付かされました。

わたし自身が一番大事なのは勿論ですが、
わたしを育ててくれた人、教えてくださった人、支えてくれる人、
見守ってくれる人、注意をしてくれる人、一緒に戦ってくれる人、
いろいろな人のおかげで「わたし」が成り立っていることを、忘れていました。

人生のゴールはまだまだ遠くて、幾つも壁がある。
全く思いもしなかった可能性や、チャンスに気がつくかどうか、
自分が今までしてきたこと、人との繋がり、興味があること、
人のために、何ができるかを考えた時、
わたしたちは、なんだって、どんなこともできる。
そして、どういう状況、いかなる環境になっても
あるがまま、「わたし」は「わたし」なのだ。

なんだか、嬉しくなってきました。そして楽しみになってきました。
きょう、このお話が聞けて、ほんとによかったです。

「うちは、何人かグループでやる展示会も多いですし、
 趣味でやってる方が遠方から、はるばるいらして
 個展を開かれる方も多い。全く審査もないですし、
 この場所を気に入って下さった方に、使ってもらえたら、それが一番です」

最後にお会計をしようとしたら、

「いいわよ、ジュースはわたしのおごり。
 いつも、クラフト縁で、個展情報掲載くださってるから」

えええ~!!いいんですか~!!??
わたし、今日はじめてきたのに!?
なんていい方なんだー!!!うれし涙あふれそうです~*

お言葉に甘えて、ご馳走になりました!
とっても美味しかったです。アボガドレモン☆おススメでっす♪

このゑいじうさん、一歩中に入ると感じるはずです。
窮屈さ、敷居の高さはなくて、入ると、自然に挨拶し、
珈琲やジュースを頂き、オーナー夫婦と会話し、
2階で、さまざまな展示会を観賞することができる。

普通の住宅街、一軒家のようなカフェとギャラリー。
2階は、まったりとしてしまう、自分の部屋のように居心地のよい、
いつまでもいたくなるようなギャラリー。
1階カフェでは、お父さんとお母さんの年代のお2人が
お話しをしてくださり、珈琲などを淹れてくださる。

はあ~きてよかった♪大満足です。
ゑいじうのオーナーさん、奥様、どうもありがとうございました!
そして、お会いできませんでしたが、高滝美和子さん、
素敵な1日を、どうもありがとうございました☆

最後に、記念に購入したポストカードをご紹介して終わりにしたいと思います。


高滝美和子さんのHP 「mi story * story」

■コーヒー&ギャラリーゑいじう
 http://www.eijiu.net/
 東京都新宿区荒木町22-38 TEL 03-3356-0098
 ACCESS:都営新宿線曙橋駅より徒歩3分
        東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅より徒歩7分

2007年8月10日 (金)

高円寺 蜻蛉玉ばぶるすさん

今回は、高円寺にある、「蜻蛉玉ばぶるす」さんを取材してきました。
この「ばぶるすさん」ですが、昨年暮れに、猫の額さんに行く途中、
ぱる商店街でみつけた、とんぼ玉がいっぱいのお店です!
とんぼ玉もさることながら、店内のディスプレイ、アンティークな置物にうっとり。
蛙や象、ヤモリ、亀、梟など、わたしの好きなものばかりで目が釘付け!
もう嬉しくて、すっかりお気に入りロックオンです!

それ以後、高円寺に行くと、必ず立ち寄っています。
今年の2月にとんぼ玉制作ができる工房が新たに店内に設けられ、
リニューアルOPENしてからも、ちょくちょくお友達を連れてったりしました。
みなさん、「すてき~♪」と気に入ってくれましたし、
店長の星野さんは、時には、
「いま、こういう蜻蛉玉作家さんがいてね~」と分厚い本を見せてくださり
「ほら、これ、すごいでしょう~これはね、○○さんで、
 こっちは□□さん、すごいんだ~」と丁寧に説明くださったりします。
その説明に、うわうわ、嬉しいんだけど、そんなにいっぱい
一度に説明されたら、忘れちゃう~(><;)と思いながら、
すっごく、とんぼ玉がお好きなんだな~というのが伝わりました。

こんなふうに、ずっと取材したいなと思っていた、
お気に入りのお店「蜻蛉玉ばぶるす」さんでございます!
たっぷりとお話し、伺ってきました。ずずずい♪っと、お楽しみ下さい~☆

よく、ばぶるすさんを見て回る女性のお客様が
「きれい~♪」のあとに「で、これって・・・とんぼ玉?」
「・・・みたいね?」で、会話が終ってるのをよく聞きます。
そうなんです。とんぼ玉って、実はなんなの?ということです。

実は、わたしもよくわかりませんでした。
はっきりいって、ガラスのことも、よくわかりません。
よく、お花がガラスの中にあったりしますけど、
あれもなんなのかわからないほどです。
(あとで伺ったところ、それはエナメルで固めてあるものだそうです。
 ガラスの中に植物を入れることは無いそうです。)

とんぼ玉とは、紐を通す穴があいているガラス玉のことで、
色々な、模様がつけられているのが特徴です。
とんぼ玉の起源は古く、今から4500年も昔、
古代文明、メソポタミア時代にまでさかのぼり、
植物の灰の中の炭酸カリウムと、砂の二酸化ケイ素を高温でとかし、
冷却・固化して作製したビーズを作ったことが始まりだと考えられています。

また、300年前のアフリカでは、ベネチアから
お金(通貨)としてたくさん持ち込まれ使われていたそうです。
これらのとんぼ玉は、アフリカの象牙や、奴隷と交換されてゆきました。
今でも、アフリカには、当時のとんぼ玉が多く見つかっていて、
時代限定ができる貴重な証拠となっているそうです。

日本においては、
●吉野ヶ里遺跡から見つかっている。
●正倉院で、たくさんのとんぼ玉と、作り方の書物や原料が収蔵されている。
●奈良時代~平安初期、仏教美術と深く結びつき、その技法は秘伝扱い、
  とんぼ玉に接することが出来る人もごく一部に限定されていた。
●江戸時代~南蛮貿易により、
  中国のガラス技術とヨーロッパのガラス技術が日本に渡航。
  長崎などで安価なとんぼ玉が多数作られるようになる。
●その後、長崎の技法が江戸で発展したもの(江戸とんぼ玉)、
  アイヌ民族との交易用に作られたもの(アイヌ玉)、奈良時代からの製法で
  作られたもの(泉州玉)が庶民の手に渡るようになり、
  根付けやかんざしなどの装飾品に使用される。
●明治時代~とんぼ玉の製法は奢侈禁止令によりに絶えることに。
●戦後~江戸とんぼ玉や外国産のとんぼ玉を参考に復元が開始。
  今日、多数の現代作家のもとで作られている。

(以上、ウィキペディア(Wikipedia)より参照。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A8%E3%82%93%E3%81%BC%E7%8E%89

というわけで、ひとくちに「とんぼ玉」といっても、
なにやら随分と歴史があることが、わかりました。
日本においては、いっとき、「とんぼ玉が閉ざされる時代」もあったんですね。
全く知りませんでした。
とんぼ玉というと、観光地のお土産やさんに売られている、
もしくは、体験教室で作れるもの、
逆に、百貨店などで売られる高級なガラス玉というイメージがあり、
お土産として喜ばれそうな伝統工芸品(?)な感じと、
アーティストが作るアート作品(勿論それなりに高い)とに、
なんだか差があるように感じていました。

そんな中、この「蜻蛉玉ばぶるす」さんは、
いろいろな作家さんのとんぼ玉を見ること、手にすることが出来ます。
気軽に入れる雑貨屋さんでありながら、
とても「とんぼ玉」を大事に主役として展示されているのが、印象的です。

「蜻蛉玉ばぶるす」の店長、星野雅彦さんは、愛知県出身。
地元で大工さんを経験後、上京します。

「そもそもの上京の目的は、文芸の同人誌を立ち上げ、
 バンド活動と、劇団旗揚げでした。
 それぞれで柱となって活動してきた時間が、
 今、現在、とても役に立っています。振り返ってみれば、
 この経験を経たことで、今がある、こうなったんだと思います」

その後、星野さんは、
「シミズ舞台工芸」という、舞台美術専門の会社に就職します。
日本のコンサートの8割を担うという大手の「シミズ舞台工芸」。
有名なアーティストのコンサートなど多数作ってきたそうです。
大工さんの時に培った技術と、シミズ舞台工芸さんで学んだ、
会場設営、舞台制作などが、今のお店作りに活かされているのですね。

「小さい頃から作るのが大好き。考えてばかりだった。
 ダンボール1個出されると、まず考えて、
 えー?!これがさっきのダンボール?!
 と驚かれるようなものを作る。そういうことが大好きだった。」
とご自分を振り返る星野さんが、自然と口にされたのは

「幼稚園の先生に文集で
 『つくることが大好きな、まー君。考えるのが大好きな、まー君。
  どうぞ、そのまま大きくなってください』という言葉を頂き、
 凄くびっくりした。でも確かにそうなんです。今でも心に残っています」

自分が本当にしたいことは何か疑問に感じた星野さんは退職、
29歳のときにインドへ向かいます。
 「あとから考えれば、結果的にそうなった。
 インドの地で分かったのは、自分の頭の地図の中で、
 ひとまず、自分の居場所を確認できたということです。
 そして、次にどこへ行こうかと。」

インド旅行から帰ってくると、資金をため、はじめは友人とともにインドネシア、
インド、タイ、ベトナムなどの、アジア雑貨の輸入会社をたちあげます。

そんな中、アジア雑貨のなかの、ガラス細工、ビーズに特化していこうと決め、
4年目に、とんぼ玉専門店ショップとしてOPENさせます。

何故、アジアン雑貨の中のガラス、ビーズ、
とんぼ玉に特化しようと思ったんですか?とお聞きしたところ、

「アジアのガラスは、織物と同じで、
 それぞれの国の歴史や風土などの特徴がある。
 日本には、江戸とんぼと、現代とんぼがあり、
 現代とんぼは、現代アートとして、可能性があると感じたんです」

小さい頃から、これはどうやってできてるんだろうと考え、
壊したりいじったりしながら、新しいものを作るのが好きな星野さん。
大工さんとして住宅を作り、コンサートなどの舞台道具を
作ってきた、どちらかといえば、超現実的な星野さんの言う
現代アートの可能性とは、なんでしょう??

「抽象的な表現をしたいんです。
 具象ですと、それ以上のものがない。
 見たまま、綺麗なままで終ってしまう。
 抽象というのは、なんだかわからないから、
 見た人のイマジネーションをかきたてます。
 自分が、どう理解するか。
 自分の引き出しを試される、せめぎあい。
 そこが面白い。見た人が、作品を作るんです。
 現代とんぼ玉の世界に、この波を投じたいです」

抽象、具象。なんだか、絵画のようです。
でも、よく考えたら、とんぼ玉もアクセサリーも、
ネイルアートだって、絵と同じだと思います。

「自分が表現したい、その手段がとんぼ玉だった、
 というスタンスで、ありたいです。
 平面じゃ表せない、ガラス、球体ならではの出し方、見せ方がある。
 とんぼ玉って素敵だわ、だと、そこで終ってしまう。
 ルネッサンスから守られてきた美術の世界を
 ピカソやゴッホのように、こんなのもあるんだ!と
 大きな流れを変える波があった。
 そのおかげで、現代アートがあると思う。

 綺麗って、いつでもどこで誰でも言えてしまう。
 綺麗なものは、みんな好き、綺麗が芸術だと思ってる人が多い。
 でも、例えば、決して綺麗からはほど遠いと思われるものでも、
 これってすごくない?!これが綺麗だと思わないかい?
 と発信する人がいる。見た人の引き出しが一致すれば、
 それは例え綺麗じゃなくてもスゴイ!と心が共鳴することがある。
 抽象的というのは、相手次第なんです」

よく知らない素人のわたしなどは、
とんぼ玉の体験教室などで、まず体験してみて
「綺麗~♪おもしろ~い☆」と感動し、
そのあと多分、自分でも作ってみたくて、
教室に通ったり、習ったり、道具を買って家でやったりすると思う。
そうなると、とりあえず、教わったとおり、できるようにして、
まずは、一般的な模様、そのあとに、高度なお花、
そして最後に、自分がやりたいようにやってみる、
そういう流れなのかな~と思っていました。

「それはそれで、すばらしいことで、楽しむこと、段階をふむこともひとつ。
 とんぼ玉の中で綺麗に花を咲かせる事は、難しいしトップクラスの技術です。
 でも、いきなり子供が素敵な絵を書くように、素敵な玉が出来ることがある。
 それを大切にしていきたいんです。
 感性は教えてそだつものではありませんからね。
 どうつくるか、どういう表現をしていくか。
 自分の技法を持ってる人が作家、アーティストと呼ばれるんだと思います」

ばぶるすさんには、たくさんのとんぼ玉がありますが
決して同じものはひとつとありません。
様々な色柄の輝きをもった、とんぼ玉が並んでいても、
自分が「これいい♪」と目にとまり、気に入って手にする、
とんぼ玉との出会いというのは、非常に極稀な確率となります。
確かなことは、とんぼ玉と自分が呼び合う、惹かれあうものがあると、
理由関係なく、吸い寄せられるんだと思います。

「ガラスというのは、固いけど、もろいという相反する性質を持っています。
 ガラスの分子構造は、液体の性質を持っている個体です。
 液体だから、透き通っているのです。
 これは結晶化していないということです。
 木はやがて腐り、鉄はいつしか錆びますが、
 とんぼ玉というのは、100年経ってもその輝きは変りません」

以前、ばぶるすさんの、体験教室を拝見した事があるのですが、
ガラスを1000℃近い温度で熱します。
固体だったガラスが、ぐにゃりと曲がり丸まっていく様は
1度見ると、忘れられません。いろいろなガラスを
上から溶かしこむことで、模様ができていきます。
炎の中で重なり交じり合いひとつになっていく様子は
まるで、踊っているようで、これから命がうまれてきそうな錯覚さえ起こります。
バーナーを扱っているので、炎の存在が非常に大きいのです、
腕の震えも、胸の鼓動も伝わってしまいそうな緊張感と共に、
炎の中でくるくる回る姿は、神秘的であり、
ずっと見ていたい恍惚感にひたってしまいます。
ほんの一瞬で波が、花びらが、雲が、雫が、文様が、
とんぼ玉の中に凝縮されていきます。
それはそれは短い時間なのに、とても長い時間に感じられました。

「知り合いの舞踏家さんは、体のトレーニングと読書を欠かしません。
 舞台に立つ日が決まったら、踊りの練習をするのではなく、
 舞台に立ったときのインスピレーションを大事にするそうです。
 音楽を聴いたときに自然に体が表現するのだそうです。

 同じように、とんぼ玉を作るとき、
 こうしたいという自分の意図も勿論ありますが、
 意図と反するものができることもあるんです。 
 溶かし方、火の具合で変っていく、
 予想外の産物、即興性がたまらないのです」

ご自分が好きだとおっしゃるとんぼ玉を見せてくださり、
「これって、なんだと思います?なんだかよくわからないでしょう」
くるくるとまわされた、とんぼ玉という小さなガラスの中には、
地層のように、星雲のように、ひとつの宇宙が存在しています。
角度によって、光に触れることで、万華鏡のように
違った表情を見せるとんぼ玉。
この中に、もうひとつ地球があるんじゃないかと思えてきます。

「中学の時のクラブ活動では、カビの研究をしてました。
 カビの次は蜘蛛の研究もしました。
 顕微鏡で診るのミクロの世界は、マクロな世界そのものです。
 こんな小さいものなのに、こんなに複雑なんだ、
 なんて面白いんだろうと思いました。
 分子があり、原子があった。ところが原子は原子核と電子からなり、
 原子核は陽子と中性子から出来ている。そして陽子はクオークと・・・。
 素粒子といわれる最小単位は、これからも進化し続けるでしょう。
 今、なにからなにまで、シンプルにという時代ですが、
 世の中というものは、思っている以上に複雑なんです」

星野さんは、「自分のコレクション」が置いてある棚から、
しずく型のとんぼ玉を見せてくださいました。
下側が赤く、まるで赤い海の中に一輪の花が咲き、
上のほうに、ひとつの水泡が天の輪のように浮かんでいます。

これって、穴が開いてなければ、
水泡がこんなふうに見えるんだけどなー見えないかなーと、
一生懸命、見つめてらっしゃいました。
見せたかったんでしょう。ありがとうございます。
また、宝物とおっしゃる万華鏡を取り出し、
嬉しそうに振ったり筒を温めながら
「あー!きれい!これすごい!見てみて!」と見せてくださいます。

この万華鏡が、油が入っているので、ぴたっと止まらず、
じわんとゆったり、常に動いてゆくのです。
今まで見た中で、一番綺麗な、とびきりたまげた万華鏡でした!!!
「こんなのはじめてみた!」
「どうやってこんなの作ったんだろう!」
「ああーー!!動かしたくない!!このまま見ていたい!」
2人で万華鏡を見ながら、一期一会の輝きとの出会いに、
「うひょー♪うひゃー♪」と、大喜びでした*

この万華鏡で感激したあと、
今まで見たことの無いようなものを見ると、
今まで見てきた綺麗なものの記憶、想像できる範疇というストックが
より一段ランクアップ、増える、広がる気がしました。

「万華鏡を見てると、無限で
 二度と同じことが起きることがないので、
 イマジネーションがわくんですね。
 脳って、フレキシブルに変っていくもの、無くなっていくもの、
 移りゆくものにかんして、忘れないように、覚えるように、
 強く印象付けるんです。止まったものも美しいですが、
 どんどん流れていく、万華鏡や、オーロラのように
 スピード感あるものに脳は強い刺激を受けるんです。
 一瞬一瞬が芸術なんですね」

この言葉を聞いて、星野さんが大好きな万華鏡の世界の、
ほんのひと欠片、ひとつの断片、一瞬の輝きを、
とんぼ玉で表せたら、とんぼ玉という小さなガラスの玉に
閉じ込める事ができたら、どんなにすてきだろうなあと思いました。

同時に、とんぼ玉(に限らずかもしれませんが)
を作る作家さんというのは、もしかしたら、多かれ少なかれ
自分の中の経験してきた、或いは想像する、素敵、おもしろい、
かっこいい、見せたいと思ったものを、ガラスの性質を生かして、
とんぼ玉という世界に埋め込み、
わたしたちに見せてくれているのかな、と感じました。

「高円寺は、吉祥寺や、荻窪とはまた違って、
 気ままにウインドーショッピングをする、ぶらぶら散策しながら、
 掘り出し物を探しだしたいというニーズがあると思うんです」

とんぼ玉の専門店って、ばぶるすさん以外、聞いたことないのですが、
確かに、高円寺にあってよかったと思います。

「日本は、パーツも、ガラスを溶かしていく技術も
 世界の中で、大変高い水準なんです。
 日本人は、手先が器用で、再現能力も、非常に優れています。
 とんぼ玉を知らない人は、この世界を見て知って欲しい。
 知ってる人は、ガラスが溶けていく様子を見て、
 それをコントロールする楽しみを体験してもらいたいです」

ばぶるすさんの店内にある、蜻蛉玉ばぶるす工房では、
とんぼ玉制作体験ができます。

●15分 とんぼ玉1つコース 1,575円
●30分 とんぼ玉2つコース 2,100円

こちらの、工房体験、週末は予約でいっぱいだそうです。
予め、電話かメールでお問い合わせ下さいね!

星野さんが作りあげた、ばぶるすさんには、
星野さんがいいと思った、アジアン雑貨、置物と一緒に
千差万別のとんぼ玉が一期一会の輝きで鎮座しています。
もちろん、完成ではなく、まだまだ増殖中だそうです。

「ばぶるすとは、泡。無常で、よどみに浮かぶうたかたです。
 とんぼ玉は、ガラス玉ですが、作るからには、使命を持っていたい。
 必ず変っていくもので、自分も変るし、そうじゃなきゃいけない。
 ゴールなんてない、あるわけがないんです。
 探究心がなくなったら終わりです。モチベーションを保つこと。
 70歳になっても、学ぼう、想像しようという
 気持ちを持ち続けて行きたいです」

蜻蛉玉ばぶるすの星野さん、どうも今日はありがとうございました!!

なお、8/20、「家のタネ」にて、2月のリフォームのお話し、
さらには、星野さんの建物に対するお考えなどのレポートを掲載しています。
よろしければ、ぜひ、こちらもご覧になってください。
●家のタネ 【それぞれの想い】高円寺 蜻蛉玉ばぶるすさん


■蜻蛉玉ばぶるすHP
 http://www.ranman.net/
東京都杉並区高円寺南2-22-6竹田ビル1F(map)
 Tel/Fax:03-3313-0277 営業時間13:00~21:00
 交通マップ詳細 こちらを押して下さい


◆8月28日、インターネットTV「posh me! FRONTLINE」の取材があったそうです!
ばぶるすさんの番組への直リンクはこちらです。こちらもどうぞご覧下さい♪


----------------後日談----------------

レポートの原稿を見て頂いているときに、星野さんから素敵なお話しを
お聞きしました。とてもいいお話でしたので、後日談で書かせて頂きます。

「もともと、日本人の心は"ある"、"ない"だけではなかったと思います。
 例えば、仲間はずれを意味する『村八分』でも、
 火事と葬式の二分は残っているのです。
 この村八分を子供達に教える際に、かつてのとある先生は、
 『井戸を10回使ううち、8回までしか使わせないよ』
 と言う例えを使って教えられたそうです。
 全員で無視したり、吊るし上げるような、
 単なる仲間はずれですと、すべてを断絶してしまいますが、
 断絶されずに残された部分にこそ、
 日本人のやさしい気持ち、日本人の良さですね。
 心が込められているように思います。

 これと同じような話で、よく、お客さんとする問答に、
 「ドーナツには穴が開いているか、開いていないか」
 というのがあります。
 私がこう聞くと、みなさん、あれこれ考えて、
 ある人は、「穴がなければ、ドーナツではないから開いている」と答え、
 ある人は、「ドーナツを構成する生地には穴がないから開いていない」と答え、
 そんな観念的な答えと、物理的な答えが錯綜します。

 禅は日本人の心そのものなのですが、これもひとつの禅問答です。
 ある禅僧が紙に円を描き、
 「円は墨の部分か、紙の部分か」
 と聞かれて戸惑ったときに、
 「どちらでもあり、どちらかでもあり、どちらでもない」
 と教えられたことがあり、目が覚めたことがあります。

 確かに、何が欠けても円にはなりません。
 「答えはひとつではない」の最たる例えです。
 しかしながら、その墨も紙も、それらが何からできているかと考えれば、
 円自体が、その実体を失っていきます。
 さらに、それらを感じる「私」の持つ感覚さえ、
 在るが如き物でしかない訳です。

 答えをひとつにしようとするのは人の癖で、
 そのために窮屈になってしまいがちです。
 でも、視点は本当は変幻自在なはずです。
 「あるか、ないか」は分かりやすいですが、
 「あるし、ない」はなかなか考えつかないわりに、
 日本人である我々は「なるほど」と以外に簡単に言えてしまいます。

 曖昧さ加減は、日本人としての美徳と捉えたいです。。
 肯定もしないし、否定もしない、なんともいえない風情ですね」

星野さんのお話に、胸がしんと静まりました。
肯定も否定もしないという言葉がここで出てきたのも驚きました。
わたしは常々、そういう人でありたいと思っていたからです。
細部にこだわって大局を見失いがちな面がある自分にとって、
このお話しと出会えたのは、気付かせて頂いた、
出会うべくして出会った、導きなのかもしれません。
ばぶるすさんの取材は、大きな意味で
わたしにとって忘れられない記念になりそうです。

とんぼ玉は、ただ美しいガラスの玉ではありませんでした。
美味しそう♪面白~い♪変ってる~♪と手にした瞬間から、
わたし、という時間の重なりと、瞬時に繋がり、
様々な経験、思いを仕舞ってある扉を開けて、
自分自身を映し出していた、自分が目にしていたのは、
自分を覗き込んでいた、わたしだったのです。

星野さん、ためになるお話お聞かせ下さって、
どうもありがとうございました(^0^)/☆
これからも、どうぞよろしくお願いします!


----------------更に、後日談----------------


●おまけ●
2006年11月26日に、お友達と高円寺散策をし、
増山博先生による、蜻蛉玉作り方デモンストレーション体験を
してきてます。この様子をまとめた「行ってきた記事」がこちら↓
高円寺散策(蜻蛉玉専門店ばぶるす・猫の額・のら犬カフェ)

2007年8月 2日 (木)

木村美穂さん個展「猫足おもちゃ箱」

7月28日(土)、高円寺の猫の額さんで開催された、
木村美穂さんの個展「猫足おもちゃ箱」に行って来ました。

木村さんとは、2007年3月の「和猫絵巻ひなまつり五人展」の取材で
初めてお会いし、そのなんともいえない笑顔に
「これは!」と心を射抜かれてしまいました。

木村さんの作品が観たいと、お尋ねしたところ、ポストカード作品を
見せていただき、1枚記念に購入して帰宅したのですが、

この猫と、木村さんが似てるんですよ!!なんだか*
それに、この1枚で、なぜか明るい気持ちになれる、
全てのことにおける、前向きさ、というものを感じたのです。
「どんな個展になるんだろう・・・*」わくわく楽しみでたまりませんでした♪


当日は土曜日で晴天だったこともあり、お客様がたくさんでした。
木の猫のお人形、板に描いてある絵、モビール、木の時計、風鈴、団扇、
とっても可愛い世界に、いらっしゃったお客さま、みなさま、魅入ってらっしゃいました。

わたしが最初一目見た印象は”子供のおもちゃ箱、子供部屋みたい”でした。

「黒猫が多いですけど、やはり黒猫が一番お好きなんですか?」
「はい、そうですね、真っ黒って、いさぎよいじゃないですか」

このやりとりというのは、猫がお好きな方には、わかっていただけるかと思います*

まず、猫の額さんで委託販売をするきっかけをお伺いしてみました。

「仕事をしながら、自分の作品の発表の場を広げたくて、グループ展などやってきました。
 下北沢で、猫の額さんのOPENのお知らせをみて、猫作家さん募集とあったので、
 作品を持っていってみてもらいました。委託販売は3年くらいになります」

猫の額さんでの、他の作家さんの個展なども、よく見にいらしてるそうです。

「いろんな猫作家さん、作品と出会えるのが刺激になりますね!」

お話伺っている間も、たくさんお客様がいらっしゃるので、「可愛い~♪」と
喜ばれるお客様とお話ししたり、作品の説明をされている木村さん。
様子を見ていると、どのお客様も、木村さんの猫ちゃんを見て
心癒される、目がきらきらしているような印象でした。

あるお客様が「この絵、すご~い!」と絶賛されたのが、こちら。
ぱっとみ、大きな魚の骨ですが、ここそこに、お家や猫がいます。
よく見ると、それぞれのお店、キャラクターに意味があり、
役目を担って散りばめられていて、大きな一つの町、世界がそこにあるのでした。

「猫は練り物が好きだから、あれは、かまぼこやさんで、
 お風呂やさんがあって、ポストがあって、郵便配達やさんが、そこにいて、
 学校があって、給食袋をもってる子がいて、
 本屋さんがあって本読んでる子や、しゃぼん玉してる子、
 野球をしてる子達や、釣具やさんがあるので、釣竿もってる子がいて・・・」

細かく木村さんが説明してくださいます。
そんな細かい設定があったんだ!!それぞれに物語があるんだ☆
お客様と一緒になって、わたしも嬉しく聞かせて頂きました。
一同、上にかかっている絵を見ながら、至福のひと時を過ごします。

横顔が可愛いよね!しきりにお客様が言ってらしたので、
こちらの絵の横顔をさがしてみました。確かに可愛いですよね~♪

作家さんにとっても、自分が描いた絵や作品について、いろいろ聞かれたり
好きだ、可愛いといってもらえるのは、とっても嬉しいことですよね。

木村美穂さんは、北海道小樽生まれ。子供の時から絵が好きで、
似顔絵を描いたり、粘土をこねたりして、ひとり遊びするのが好きだったそうです。

北海道の大学の美術科に進学。
大学では、平面、デッサン、油絵、水彩など学び、絵本の研究に没頭します。
絵に携わる仕事がしたいと、卒業後、東京に上京し就職します。

北海道から東京に来てまず驚いたのは、冬でも靴がスニーカーでいいいこと。
北海道では、冬は冬用の長靴かブーツがあたりまえでした。
また水がまずかったこと。この2点が、信じられなかったそうです。

東京で、「大きい会社で、絵や絵本の仕事がしたい」とデザイン事務所に勤めます。

大きい会社に就職してみて、どうでしたか?とお尋ねしたところ、

「東京にきてよかったです。デザイン事務所では、
 イラストレーターさんのアシスタントから初めて、
 だんだん仕事を任せてもらえるようになって、
 グループを作って、絵本やイラストを作るようになりました。

 美大のときは、デッサンなどの基礎を積み上げていくことで、
 地に足がついてくる。そこから、自分が何処へ行くか、自分の好きなこと、
 進むべき道を選んでいく、その選択をする場所なんだと思います。

 美術史など理論も好きでしたが、子供の時から絵が好きで、
 楽しいほうがいい、にやにやしながら描いているほうがいい、
 そこで、子供向けの絵本が作れたら、と思ったんです」

「会社で作る企画として子供向けの絵本を出す事になりまして、
 絵本作家としてデビューしています。会社でもHPを作ったりして、
 幼稚園や小さなお子様に読んでもらえています。
 お子さんに喜んで読んでいただけるのは、とても嬉しいです。
 会社、企業という大きな組織の中だから、出せた、
 ひとりじゃできなかったと思います」

ほんとに、いろいろな考え方、人生があるんだなと感じます。
大きな企業に属して、ひとつのものを創り上げていく
という経験を積んでいこう、という前向き・挑戦的な志で、
試練という荒波に北の国から飛び込んでいった木村さん。
笑顔で語るその仕草は新鮮です。

この可愛い、木のお人形は、糸鋸を買ったことで、新しく作るようになったんだそうです。

「下書きをしておいて、だいたいのあたりをつけて切っていくんですが、
 1回切ってしまったら、後戻りできない、その形で作っていくしかない、
 切った形で決まるので、いさぎよいじゃないですか、それが面白いです」

想像としては、ミシンをあてがっているようなイメージですが、
糸鋸なんですよね・・・*

いさぎよい。さっきもお聞きしたフレーズです。
自分の感じたものを大事にすることは、自信が無いとできません。
また、そのためには、感じたものを思ったとおりに表現できるだけの
自分の力を出すための訓練、努力が無いとできません。

この部分というのは、凡人にはわからない、なんでそんなふうに
考えたり創ったりできるの?!と不思議なところなんですが、
あまり核心的な部分は語らなくても、ものづくりをする方というのは、
この部分が、実に、企業秘密というか、感覚的にできているものであり、
緻密に繰り返され吟味された結果、作家さんが選んで取得していった、
それぞれの結晶なのかなと思います。

「切ったものは、わざと角を丸くしたり、木肌を見せるようにして、
 懐かしい感じにしています。もともと、板に絵を描くのが好きで、
 ざらついたところや、かすれた具合が好きです。
 木のリアルさを出したいですね。甘い顔の絵を描いていても、
 木のもつ現実さを出せたら、子供っぽくならないと思うので」

こんなに、どれも可愛いのに、木村さんご本人から、ただ甘い子供向けだけでなく、
リアルさも出すことを忘れていない、とお聞きして、感心しました。

どの子も、それぞれ面白く、色が可愛くて、ひとりひとりに物語があるようです。
自分が子供だったら、これら人形を使ってお話しを作って
ひとり遊びしてしまうかもしれません。

それにしても、木村さんは、いつも満面の笑みです。
ふにゃ~っとシュークリームのような微笑です。

「パッと見て、お客様によって、感じる印象が違って、
 表情がキツイほうがいい、やわらかいほうがいい、
 いろいろ感想をいただけるのが嬉しいですし、ありがたいです。
 自分が作ったものが、人の家に飾られるのは嬉しいですね。
 ひとりでも、好きっていってくれる人がいたら、嬉しい」

確かに、丸い目の、可愛いバージョンと、
細い目の悪巧みしているようなバージョンとあります。
わたしは、この両方が描けるのが、凄いなと思います。
いや、意識して描き分けているんですよね、

上の言葉を聞いて、木村さんは偉いな、強いなと思いました。
私だったら、自分なりに頑張って創ったものを
「こっちのほうがいい」「こっちはそんなに好きじゃない」
等など、いわれたら、絶対凹みます。
でも、いろんな方がいて、意見が聞くことができて嬉しいと
ちゃんと認め、受け入れられる姿勢が強い。
さきほどの、ご本人が使っていた
「いさぎよい」の言葉がここで繋がった気がしました。

木村さんは、きっと創りたいと思ったものを創って
わたしたちを、ちゃんと楽しませてくれる、
それができる作家さんなんだな、と感じました。


はい!それでは、ここで、わたしの今回、
とっても気になったベスト3をご紹介します。まずは

チャイムですね。わたし、黒猫、三日月というシチュェーションが
大好きなので、これには、まいりました。釣りをしてるところもかわいいです!
赤い傘に入っている2匹も可愛い。
ちりんちりん♪とすずやかな音が聞こえてきそうです♪

右側の、白い猫が緑のスケボーに乗って、缶詰を運んでいる絵。
とっても可愛いです。バケツから魚がつるつるとこぼれているところや、
白猫が三角巾をかぶってるところなど、ほほえましいです。
このあとの展開が気になる絵ですね*

左側の、風見鶏の上にたつ、鋭い目をした猫ちゃんの絵も好きです!
男の子かなあ、「やい!おいら、こんなことだって、できちゃうんだから!」
みたいな、のりでしょうか(想像ですw)ところどころに飛ぶ風船が平和です。

はい、今回、わたしが一番好きだなと思ったのは、こちらの絵です。
色鉛筆が並んでいるというシチュエーションも好きなんです*
色の1つ1つ、1本1本がピアノの鍵盤のように色を奏でるといいますか
それぞれに意味があって、どれも大事なもので、それが並んでいるというのが
もう、木琴やハープを、端から端へ、ちゅるるるん♪と触りたい心境にかられます。
巨大な色鉛筆の街でしょうか。走る2人の影が、ちゃんと色鉛筆に
大きく映っているの、ご覧いただけますでしょうか?!この影、たまりませ~ん♪
リボンと靴が赤なのも素敵!空から静かに垂れる星々と、三日月。いうことなし!
2人は走ってどこにいくのでしょうか。このあとどんなことが待っているのでしょうか。
わくわくどきどき!デンジャラーより、ロマンチックかアドベチャーを感じます☆

この時計も、お客様には大好評でした。かわいい・・!
小児科の待合室や児童図書館にあったら、絶対嬉しいですね~♪
左は、男の子2人に女の子1人のドリカム状態なんだとか*

「今後は、自分で絵本を作っていきたいです。
 子供向けというより、子供さんが見ても、大人の方が見ても、
 ページを読み進め、めくっていくほど面白い絵本。
 暮らしのすみっこで、ちょこっと笑えたり、ほっとできる場所でありたいです。

 木のお人形などの立体作品の制作は趣味と同じです。完成品が見たくて、
 つい最後まで仕上げないと気がすまないのです。

 展示会も、このまま続けていって、おもしろいことをやりたいですね」

こちらも、とても素敵な絵で、わたしも好きです。
題名は「ここが一番はかどります」
なんか、見てると泣けてきます。わたしも、自分が思い描く好きな場所で
こんなふうに寛げる、好きなことができる、落ち着ける、
自分の仕事ができる自分の居場所が欲しいなと、いつも思っています。
だから、この絵を見て、自分がそうしたいと思っている夢や希望を
絵や形に表せること、いろんな人に見てもらえることって
どんなに素敵なことだろうと、うるうるきちゃいました。

わたしが思うのは、
子供って、凄く現実に敏感なんです。自分の寂しさも、
周りの人の寂しさも痛いくらいに感じ取れるんです。
でも、いつも求めているものはあって、どんなことがあっても、
それはかわらなくて、友達と遊んだり、絵を描いたり、絵本を読んだり、
ひとりで遊んでる時だって、決して放棄なんかしないんです。

わたし自身、子供の頃、母親に沢山絵本を読んでもらって
「これは?これは?」といっぱい質問し、
出てくる答えに、さらに想像が膨らんだものです。
絵本を読んでもらいながら、母親が自分だけのために、
話してくれる言葉たちは、きらきらした星屑のようであり、
マーブルチョコレートや、金平糖、ビー玉、おはじきであり、
自分だけがもらえる、ご褒美そのものでした。

絵本は、絵本の中のお話だけにとどまらず、夢に繋がったり、
ひとり遊びしている時の、自分のお気に入りの物語の一つになったりします。
誰にも邪魔できない、自分だけのお城となります。
そこではいつも自分はお姫様だったり亀だったり猫だったり空を飛んだりします。

たまに怪物やお化けが出てきて、ちょっぴり怖かったり
寂しくなりそうになっても、どんなに辛い苦しい困難があっても、
あれやこれや考えて試してみます。ぼろぼろになっても、
くじけず立ち向かうことで、敵を倒せたり、出口に辿り着くことができて、
明るい場所へ戻れます。物語はハッピーエンド。
目が覚めれば自分の部屋、布団の中、お母さんがいたりします。
乗り越えて帰ってきた先には、必ず安穏があるのです。
・・・・ただの、一人遊びなんですが。

木村さんの、これらお人形や絵を見ていて、
そんな自分の子供時代が引き出された気がしました。
全く予想外のことで、びっくりしましたが、
ほんとに忘れかけていたことなので、嬉しかったです。

猫の額の店主、木村慎一さんは、木村美穂さんのことを
「キノコに座った、妖精さん」とお話していました。
いやはや、こんなぴったりの言葉は無いです。

そういう役目の方が、この世の中、いてもいいと思います。

子供も、大人も、いつだって、冒険者です。
現実の社会では、なかなか冒険できませんが、
木村美穂さんの絵やお人形は、わたしたちを子供時代に戻してくれたり、
冒険に連れ出してくれるのです。
こんなこともしてみたい、あんなこともしてみたい、
やってみたかった、できなかったことを見事にしている、猫ちゃんたち。
そんな絵やお人形がいっぱい。まさに、おもちゃ箱なのでした。

是非、次の個展では、木村さんの絵本を拝見したいです。
木村美穂さん、今日はどうも、ありがとうございました!

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